台風ヨランダ(30号)
航空自衛隊が被災地への救援物資輸送を開始。初日はロハス市に食料約9トン届ける
台風ヨランダ(30号)の被災者支援でフィリピンに出動している自衛隊が18日、被災地へ救援物資の輸送を始めた。初日は、沿岸部を中心に強風の被害を受けたビサヤ地方カピス州ロハス市に、社会福祉開発省が準備したコメや缶詰など食料約9トンを届けた。
医薬品などを積んだ航空自衛隊小牧基地(愛知県)の輸送機C130、2機は17日に首都圏パサイ市のビリヤモール空軍基地に到着。18日は、1機のみが隊員13人と日系報道関係者を乗せて、同基地とロハス空港を一往復した。物資は、コメや缶詰、コーヒー、乾麺など。
輸送先は比政府の要請により調整された。19日以降も、比政府の要請に基づき、2機で各被災地のハブ空港に救援物資を輸送する。
401飛行隊第1輸送航空隊所属の坂本隆宏機長は「情報が錯綜している部分もあるが、国内外で長年支援の経験がある。最大限できることをやりたい」と話した。
社会福祉開発省カピス州事務所の責任者によると、同州全体で54人が死亡し、約14万人が被災した。ロハス市など沿岸部を中心に強風が襲い、多数の民家が倒壊した。被災直後は、州や各市町に貯蔵してあった物資を活用して急場をしのいだという。パナイ島外部から支援が届き始めたのは14日。今のところ、食料や水などの物資は足りているという。管制塔や建物の屋根の一部が破損したものの、ロハス空港が同島被災地のハブ空港として機能している。
カピス州内の主要道は通行可能だが、トラックが不足している上、山間部のバランガイ(最小行政区)へ通じる道路が依然通れない状態が続いており、小島からなるバランガイも含め、遠隔地への輸送が難航しているという。同州全体で電気の供給は回復していない。
ロハス市内の被災者の多くは全半壊した自宅に戻り、家の再建を始めており、今後は建築資材が最も必要になる。(大矢南)