台風ヨランダ(30号)
台風で観光地セブ州北部に住む日本人も被災
ビサヤ地方を直撃した台風ヨランダ(30号)で、観光地のセブ州北部も被害を受けた。同州ボゴ市に住むリゾートホテル経営の永野修さん(72)=大阪府出身=は10日、マニラ新聞の取材に対し「4階建てホテルのエアコン室外機と自宅の屋根が強風で吹き飛んだ。自然の猛威には勝てないと実感した」と語った。
永野さんは「台風ではがれた民家のトタン屋根が自宅付近に飛んできた。強風でホテルの窓ガラスも割れた。被害額は1千万円にも上る」と被災の深刻さを強調した。
台風は、同州北部を8日正午ごろに直撃。多数の家屋が全半壊し、水道、電気、電話・インターネット回線などの公共インフラが機能を失った。セブ市から車で約2時間半の距離にあるボゴ市には、台風に関するその後の情報がなかなか届かない。
永野さんは、発電機を持っていたため、地下水の汲み上げや食糧の冷蔵貯蔵をすることができた。台風が去った後、地下水をタンクに入れ、近隣住民に無償で配っている。永野さんは「受け取った水を、他の住民に売っている人もいるらしい」と苦笑いを浮かべ、災害時の混乱した実情を話した。
台風が同市を抜けてから3日目の10日、セブ州北部では、電話回線は一部で復旧しているが、依然、水道と電気が止まっている地域がほとんど。台風で家屋が全半壊した被災住民の多くは、近くの学校や公共施設での避難生活を続けている。(篠塚辰徳)