台風ヨランダ(30号)
8日午前、東サマール州付近に上陸へ。12州に警報4。深夜には首都圏最接近
フィリピン気象庁によると、猛烈な台風ヨランダ(30号)は7日午後10時現在、ビサヤ地方東サマール州ギウアン町の南東290キロの太平洋上にあり、時速39キロで西北西へ進んでいる。8日午前9〜10時ごろ、同州南部からレイテ州北部にかけての地域に上陸する見通し。上陸時の最大瞬間風速は90メートル前後と予想され、同庁は東サマール、サマール、レイテ、南レイテ、ビリランなど12州の警報レベルを最高の「4」に引き上げて、警戒を呼び掛けている。首都圏を含むルソン地方中部への最接近は8日深夜になるもよう。
上陸後は、レイテ島、セブ島北部、パナイ島北部、ミンドロ島南部などを横断し、9日午前、西フィリピン海(南シナ海)へ抜ける見通し。
7日午後11時(比時間)の日本気象庁発表によると、中心気圧は895ヘクトパスカル、最大瞬間風速は90メートル。
猛烈な風に加えて、半径約300キロの強風域内では、1時間当たり10〜30ミリの激しい雨が予想され、洪水や土砂崩れ、高波への警戒も必要だ。
国家災害対策本部によると、7日午後6時までに、レイテ、東サマール、北スリガオ、東ミサミスの4州では、910世帯、約3800人が小学校などに避難した。
約2年前の2011年12月中旬、台風センドンがミンダナオ地方を横断した際には、避難の遅れなどから1200人を超える死者が出た。これら過去の教訓を踏まえ、アキノ大統領は7日夕、テレビ演説を行い、最新情報の収集や早期避難などを自治体関係者、住民に呼び掛けた。
7日午後11時現在、発令中の警報と対象地域は以下の通り。
【警報4】東・北サマール、サマール、レイテ、南レイテ、ビリラン、カピス、アクラン、マスバテ各州とセブ州北端部、アンティケ州北部、イロイロ州北部。
【同3】ギマラス、ボホール、ソルソゴン、ロンブロン、、ディナガットアイランド各州とアンティケ州中南部、イロイロ州中南部、東・西ネグロス両州北部、セブ市を含むセブ州北部。
【同2】シキホール、東・西ミンドロ、マリンドゥケ、アルバイ、カミギン、南・北スリガオ、北アグサン各州と東・西ネグロス両州中南部、セブ州中南部、パラワン州北端部。
【同1】首都圏とバタアン、南・北カマリネス、カタンドゥアネス、ラグナ、リサール、カビテ、バタンガス、東ミサミス、南アグサン各州、ケソン州南部、北端部を除くパラワン州。(酒井善彦)
台風に関する警報
フィリピン気象庁の警報(シグナル)は、「1」〜「4」の4段階。発令基準は予想される風速で、大雨が降るか否かの予測にはあまり役立たない。各警報の詳細は以下の通り。
警報1 36時間以内に風速が毎時30〜60キロメートル(秒速8・33〜16・7メートル)になると予想される▽同2 24時間以内に風速が毎時61〜100キロメートル(秒速16・9〜27・7メートル)になると予想される▽同3 18時間以内に風速が毎時101〜185キロメートル(秒速28・1〜51・3メートル)になると予想される▽同4 12時間以内に風速が毎時185キロメートル(秒速51・3メートル)を超えると予想される。