フィリピン最大の配電会社マニラ電力(メラルコ)は12日、フランスの国営電力会社フランス電力(EDF)と比国内における原子力発電の開発促進に向けた戦略的提携合意を締結した。フランス電力はフランス国内はもとより、欧州や世界各国の電力会社を傘下に持つ多国籍電力企業で、仏国内で60基近くの原子力発電所を運転するなど世界有数の原発推進企業。メラルコが13日付プレスリリースで伝えた。
提携合意に臨んだメラルコのマヌエル・パギリナン会長は「比政府の主要目標の一つは我が国のエネルギー安全保障であり、原発はこの目標の達成に向けた有効な道筋の一つだ」とした上で、「今回の提携はメラルコにとり重要な第一歩であり、われわれが原発をフィリピンで推進する上での主役としての役割を果たすことを誓う。フランスとの協働をさらに深めることを期待している」と強調し、原子力分野におけるフランスとの提携を強化させる意向を示した。
戦略提携合意は2年間の期限で、フランス電力側がメラルコに対して原発立地場所や発電システム統合、国のエネルギー構成における原発の経済的有効性などに関する事業可能性調査を実施する際の技術的・戦略的支援を行うことが盛り込まれている。
また、EDFはメラルコに対して原子炉技術や原発運営に関するカスタマイズされた技術者訓練を実施するほか、フランス政府を含む海外の投資家などからの資金調達についても両者で協働して追求することになっているという。
メラルコは比における原子力発電事業の立ち上げについて米国や中国などに技術者を派遣するなどして人材育成にまず取り組んでいるが、最近ではフランスのパリ首都圏にあるパリ・サクレー大学など様々な原子力発電に携わる機関と提携を結ぶなど、原発大国のフランスへの歩みよりを強めている。(澤田公伸)