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11月8日のまにら新聞から

経済成長5.2%に減速 農業分野のマイナス成長で

[ 1133字|2024.11.8|経済 (economy) ]

比の第3四半期GDP成長率は5.2%に鈍化。農林水産業マイナス成長で

 比統計庁は7日、第3四半期(7~9月期)の実質国内総生産(GDP)の成長率が5・2%だったと発表した。第2四半期と比べると1・2ポイントの減速となり、コロナ禍からの経済回復が始まった21年第2四半期以降では、23年第2四半期(4・3%)に次ぎ2番目に低い水準。インドネシア(4・9%)、シンガポール(4・1%)より高いが、ベトナム(7・4%)、マレーシア(5・3%)より下となった。

 成長を鈍化させた主な要因はマイナス2・8%を記録した農林水産業の低迷。国家経済開発庁(NEDA)のバリサカン長官は「エルニーニョ現象のほか7回台風が来襲し、季節風による豪雨災害もあった」と説明した。また、油流出事故で7月にカビテ・バタアン両州で禁漁期間が設定されたこと、8月にバタンガス州でアフリカ豚熱が発生したことも要因として挙げた。

 産業の3大分類別にみると、第三次産業(サービス産業)が第2四半期比0・49ポイント減の6・3%、第二次産業(製造業)は同2・9ポイント減の5・0%成長だったのに対し、第一次産業(農林水産業)はマイナス2・8%。第2四半期にマイナス2・3%とマイナスに転落していたが引き続き減速した。

 需要面からみると、GDPの76・4%を占める家計最終消費が5・1%の成長。インフレの緩和を反映し、2四半期連続で回復、5%台に戻った。

 一方、官民の総資本形成は第2四半期から1・46ポイント増の13・1%。中でも企業設備投資が13・9%、家計の住宅投資9・6%とけん引した。しかし、政府によるインフラ投資は悪天候による手続きの遅れにより3・7%にとどまった。

 GDPに海外からの純所得を加えた国民総所得(GNI)は第2四半期比1・3ポイント減の6・8%。短期海外就労や海外投資収益など海外からの純所得(第一次所得収支)の伸び率は21年第4四半期以降で最低の19・3%となった。

 輸出はマイナス1・0%だったのに対し、輸入は6・4%の成長。輸出は半導体輸出がマイナス17・9%と後退。サービス輸出であるインバウンド観光も減少した。

 ▽目標達成できるか

 1~9月までのGDP成長率は5・8%。これで今年の政府目標(6~7%)に到達するには、第4四半期の成長率が6・5%以上が必要となり、目標達成が不透明な情勢となってきた。

 成長目標の実現可能性について、バリサカン氏は「インフレ率が落ち着くなか、家計・企業マインドは改善の兆しを見せている。また、中銀が計0・5%利下げを実施したほか、預金準備率を引き下げたため、資本集約的設備への投資や高額消費財への支出が伸びると期待している」と説明。前向きな見通しを示した。(竹下友章)

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