ニュークラーク開発に言及 比・シンガポール首脳会談
マルコス大統領がシンガポールのウォン首相と首脳会談。ニュークラークシティ開発事業にお互いが言及
英国国際戦略研究所が主催するアジア最大級の防衛フォーラム「アジア安全保障会議」(シャングリラ会合)で基調講演を行うためシンガポールを訪問したマルコス大統領は5月31日、同国のローレンス・ウォン首相との首脳会談に臨んだ。変化する国際情勢に合わせた新たなパートナーシップを模索するなど二国間関係の強化で合意した。
同国の大統領官邸で行われたウォン首相との首脳会談で、マルコス大統領は「シンガポールがフィリピンに対する外国直接投資の主要投資国の一つだ」との認識を示した上で、同首相がルソン回廊の一部であるタルラック州のニュークラークシティ開発事業について「シンガポールの投資家の間でよく知られていると言及したことを嬉しく思う」と述べて感謝した。
また、大統領はウォン首相に対し、比政府が製造業や半導体組み立て、グリーンミネラル加工などの事業をルソン回廊に誘致したいと説明し、シンガポールの投資家たちも投資するこができると呼びかけた。
さらに両国間における観光産業における提携も有望で観光インフラの改善や航空路線の拡充なども目指したいとの意向を示した。
一方、ウォン首相はシンガポールに滞在している比人海外就労者らが20万人以上いるとして、良好な人的交流が進んでいると指摘した上で、比人海外就労者たちの健康と福祉をさらに保護し、シンガポール経済への貢献を評価したいと強調した。
比とシンガポールは1969年5月16日に国交を樹立したほか、1967年に東南アジア諸国連合(ASEAN)の原加盟国メンバーとなっている。マルコス大統領は就任後すぐの22年9月6~7日にシンガポールに国賓として正式訪問している。
シンガポールは、比の貿易相手国として昨年は8番目に大きな貿易総額を上げており、輸出相手国として6番目、輸入相手国としては7番目。また、比の投資誘致機関に登録された外国投資家による投資約束額は2021年、22年ともにシンガポールが最大となっている。
▽ますます良好な関係
一方、マルコス大統領は5月31日、シンガポールのターマン・シャンムガラトナム大統領を表敬訪問した。この際にシャンムガラトナム大統領は「マルコス大統領の下で両国の外交関係はますます良好になっている」と歓迎した。また、それぞれの投資家が様々な分野で投資を行うよう両国が努力していることを含めて両国の経済関係が強化されていると高く評価した。(澤田公伸)