15億ドルの資金援助検討 JICAと比財務省が協議
比へ最低15億ドルの資金援助を24年3月までに実施する方向で比財務省とJICAが協議を進めている
財務省は2日、日本の国際協力機構(JICA)との間で、2024年4月~25年3月会計年度に少なくとも総額15億米ドル(日本円で約2300億円)の資金援助をフィリピンに対して行う方向で協議が進んでいると明らかにした。また、25年までに主要インフラ事業向けの融資案件4件以上を締結することでも協議を進めているという。
ホベン・バルボサ財務次官(国際金融担当)と国際協力機構の東南アジア・太平洋州部の早川友歩部長が4月18日、米ワシントンのJICA事務所で協議した際に、双方で確認した。
同次官は先月の協議で、2023年末時点で日本政府による比への政府開発援助(ODA)の資金援助約束額(融資および無償資金協力)が計123億ドルとなっており、外国政府からのODA約束総額の32.82%を占めていることを紹介し、日本が比に対する最大のODA供与国だとして比日間の強いパートナーシップを評価した。
財務省とJICAは、2023年から27年までの5年間に毎年平均で2492億円(約16億ドル)をJICAが資金援助する方針について協議しており、今年度の締結を目指す融資案件4件についても海上安全保障や道路建設、洪水リスク管理などの分野に絞る見込みで、融資条件などを詰める作業に入っているという。
また、JICA側はマルコス政権に対して、インフラ事業以外にも、比の農業や教育、医療保健の分野での資金援助を検討しており、支援範囲を拡張させるとしている。
さらにJICAは特定の政策ベースの事業に対する融資支援も拡大させる意向で、アジア開発銀行およびフランス政府が協調して進めている気候変動対策プログラムへの融資支援事業に同機構として協調融資を実施することも検討しているという。
一方、財務省は、比が目指している高中位所得国入りするに際して比政府が定めている開発目標を達成するための民間セクターによる融資支援をさらに加速させるために、JICAによる支援も求めている。(澤田公伸)