「外資規制撤廃は雇用生む」 改憲世論調査で最多の64%
改憲による外資規制撤廃に関する世論調査で、「雇用を生む」「サービスが向上する」などと肯定的意見が過半数
比シンクタンク「ADRストラトベース」は3日、民間調査会社パルスアジアに委託して実施した、外資規制条項の撤廃に絞った改憲に関する世論調査(3月実施)の結果を発表した。それによると、「憲法上の外国投資への制限条項を撤廃した際に起きることは何か」という質問(3個まで回答可)に対し、「質の高い雇用の増加」を選択した回答が64%と最も多かった。他にも、「消費者に対するサービス向上」(56%)、「商品・サービス価格が安くなる」(54%)など肯定的な回答が半数を超えた。
同時期に同社が実施した「いま改憲すべきか」を尋ねる調査では、「いま改憲すべきでない」が88%を占めていたが、外資規制緩和に絞った改憲を強調した今回の調査では、肯定的な選択肢が全て過半数を超えた。BPO産業を中心に外資参入が国民の所得を高めていることを肌感覚で知っている比人の外資誘致への積極姿勢が数値に反映されたとみられる。
一方で、同調査では、回答者の55%が「外資が国内企業を席巻する」、43%が「国家の安全保障が危機にさらされる」を選択。さらなる外資規制緩和への警戒感も同時に数字に表れた。
今回の調査は憲法上の外資規制撤廃に関する質問に先立ち、「比で外国投資を妨げる要因はなにか」について質問。「お役所仕事や政府方針の変更などの制度の複雑さ」(56%)と「外国人投資家の所有率制約」(55%)が過半数の回答を集めた。それに、「政府の腐敗」(46%)、「不十分な交通インフラ」(40%)、「高額な電気料金」(40%)などが続いた。
ただ、社会調査の分野では、先に与えた情報が後の回答に影響する現象(アンカリング効果)があることが知られており、外資阻害要因を先に回答者に考えさせる今回の質問の立て方が、改憲による外資規制の撤廃に肯定的な回答を引き出したという面もありそうだ。
調査は3月6日から10日にかけて1200人を対象に実施された。
▽成長目標超えも
国家経済開発庁のバリサカン長官は4日の会見で、憲法改正に触れ、「憲法を望ましい形で改正すれば、特に公共サービス、教育分野でさらに多くのことを達成でき、さらなる成長の源を手に入れられる」とし、経済成長率が政府目標の上限を上回る可能性を指摘。その一方で、「いま憲法改定できたとしても、その効果が現れるのは政権の最後の方になってからだろう」と述べた。
また、リベラル政治勢力に強い影響力を持つカルピオ元最高裁判事は3日、改憲に関するフォーラムに登壇。上下両院が合意した現行の改憲案である、外資規制条項に「法律の定めのない限り」と文言を付け足す形での改憲について、「経済に利益をもたらす」との立場を明らかにした。その一方で、「それは同じく外資規制を撤廃している国にだけ適用する『相互主義』に基づくべきだ」と主張した。(竹下友章)