比がASEANトップへ AMROの24年地域経済見通し
ASEANプラス3マクロ経済調査事務局が24年の比経済成長率を6.3%と予測。ASEANで最も成長率の高い国へ
東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3の財務相会合によって設立されたASEANプラス3マクロ経済調査事務局(AMRO)=本部・シンガポール=は18日、2024年のフィリピンの国内総生産(GDP)伸び率を6.3%と予想し、ASEANで最も成長率の高い国になるとの見通しを発表した。比政府が掲げる24年の成長率目標6.5~7.5%には届かないとしている。19日のビジネスワールド電子版が報じた。
AMROが公表した地域経済見通しによると、比がカンボジア(予想成長率6.2%)やベトナム(同6%)を抑えて最も成長率が高かった。4番目以降はインドネシア(5.2%)、マレーシア(5%)、タイ(3.3%)、ミャンマー(3.2%)、シンガポール(2.6%)、ブルネイ(2.4%)と続いた。またプラス3にあたる中国は5.3%、香港3.5%、韓国2.3%、日本1.1%だった。
同局の上級エコノミストのホーイー・コー氏は「比経済は高進するインフレや金融引き締めにもかかわらず、良く持ちこたえており、域内の他国と比べて輸出依存度が非常に低い」と評価した。
一方、世界的な物価高や中国の経済停滞、米国の金融引き締め、米国・欧州の潜在的な景気後退、米中の地政学的緊張など今年の成長の弊害となり得るリスクも挙げた。加えて1月から5月まで続くとみられる、降雨量が減少するエルニーニョ現象の影響による米価高騰も比の懸念材料とした。
また、AMROは23年の比の経済成長率が5.6%になる可能性が高いとの見方を示した。域内でも最も高い成長率となるが、政府目標の6~7%にはやはり届いていない。
コー氏は「成長の勢いを楽観視しすぎたようだ。モメンタムは予想より弱い」と振り返った。比統計庁によると、過去9カ月間の経済成長率は5.5%だった。
またASEANプラス3の今年の平均成長率は4.5%と昨年予測値の4.4%からわずかに上方修正した。「ASEANプラス3は輸出の好調とインフレ率の緩やかな上昇を背景に、昨年は予想を上回った。好調な輸出と内需の底堅さによって今年の成長率も堅調だ」と予測する。
さらに、コー氏は中国の不動産セクターの回復や観光の復興が今年の地域の成長を支えると分析している。(沼田康平)