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10月8日のまにら新聞から

「成長率6%は達成可能」 主要予想軒並み5%台で バリサカン長官

[ 812字|2023.10.8|経済 (economy) ]

NEDA「今年の成長率7%は難しいが6%は可能」。成長目標引き下げを示唆

 世界銀行、アジア開発銀行(ADB)、国際通貨基金(IMF)が最新の成長率予想で、2023年の比の経済予測を5%台に下方修正するなか、国家経済開発庁(NEDA)のバリサカン長官は6日、6~7%という政府成長目標について「7%は難しくなったが、6%はまだ達成可能だ」との見通しを示した。さらに、「23年の政府目標が5・5~6・5%に引き下げられたとしても、がっかりさせるものではない」とし、政府目標の具体的な引き下げ幅に言及した。

 バリサカン氏は、比経済の成長見通しが下振れした理由について、「世界経済全体が弱くなっており、各国が成長目標を引き下げている」と説明。さらに、9月に6・1%に再上昇したインフレ率も「憂慮すべき事態だ」とした。

 一方で、そのインフレ抑制のために政策金利を引き上げることについては、「私が金融政策決定会合の一員だったら反対するだろう」と明言。「金融引き締めが生産者、消費者、経済全体にダメージを与えることが分かり切っている。政策金利の引き上げを再開する緊急性はない」と主張した。利上げは貸出金利の上昇につながり、住宅投資や企業設備投資を抑制する効果がある。

 一方、中銀は9月のインフレ率上昇を受け、「物価上昇圧力が拡大するのを防ぎ、インフレ見通しに対する持続的な上振れリスクを考慮して、さらなる波及効果の出現を阻止するために、金融引き締めを再開する用意がある」との声明を発表。物価の安定を担う中銀と経済成長を担うNEDAとの間での見解の差異が表面化している。

 比の政策金利である翌日物借入金利(RRR)は、3月に2007年7月以降最高の6・25%に引き上げられ、その後は据え置かれている。

 経済閣僚と中銀総裁が比マクロ経済の見通しと目標を決定する政府開発予算調整委員会(DBCC)会合は19日に開催。政策金利の操作を決定する中銀の政策決定会合は11月16日に開かれる。(竹下友章)

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