ADBと日本で66% 22年のODA324億309万ドル
NEDAが2022年ODA報告書を発表。ADBと日本で対比ODAの66%を占めた
国家経済開発庁(NEDA)は3日、フィリピンに対する2022年の政府開発援助(ODA)に関する報告書を公開した。同年のアクティブなODAは借款・無償資金協力は、前年より1億6384万ドル増の計324億309万ドル(約1兆8437億ペソ)。国家予算比36・7%の規模となった。
資金供与元別にみると、最大のODA供与パートナーはアジア開発銀行(ADB)で全体の33・47%を占めた。昨年1位だった日本・国際協力機構(JICA)は30・75%で全体で2番目となった。ADBと日本を合わせれば全体の66・22%を占めた。ADBは設立に旧大蔵省が大きく携わり、日本が最大の出資国。歴代総裁も財務省出身者ら日本人が務めている。
次いで大きかったのは、世界銀行(21・18%)、中国(3・02%)、韓国(2・81%)などだった。
2022年のコロナ禍対応自体を目的とした借款事業は4件10億2000万ドルで、20年の25件90億7815万ドル、21年の15件55億6606万ドルと比べ激減。コロナ禍への対応から、コロナの「爪痕」からの経済復興や社会・経済の改革に重点がシフトした。
一方、最も多い割合を占めたのはインフラ部門で160億7000ドル。事業規模トップ10には、1~3位にJICAとADBが融資する南北通勤線延伸3事業(事業費合計8736億ペソ)が占めるなど、JICA・ADB事業がほとんどとなった。ただ一方で、5位には韓国輸出入銀行が融資するパナイ~ギマラス~ネグロス3島架橋事業(1895億ペソ)、6位には中国が融資する比国鉄南延伸事業(1753億ペソ)が入った。
同報告書はノイノイ・アキノ政権(2010~16)とドゥテルテ政権(2016~22)のODA借款額を比較。アキノ政権期の154億8000万ドルに比べ、ドゥテルテ政権では2・2倍となる339億5000万ペソに拡大していた報告し、その要因について「日本やADB、世銀からの継続的な借款に加え、過去10年間で中国などが新たな供与国として現れたため」と説明した。
また、2010~22年までの主要な公的資本形成事業(2兆7000億ペソ)の資金源別内訳も報告。その中でODAが占める割合は、69・8%(1兆8900億ペソ)に上った。次いで、官民連携が7600億ペソで28・0%、国内資金調達事業は600億ペソで2・1%、合弁企業による事業が10億ペソで0・04%だった。(竹下友章)