CREATE法改正を明言 マルコス大統領「VAT還付問題に取り組んでいる」
大統領「VAT問題に対応するためCREATE法と施行細則を改正する」
マルコス大統領は28日、セブ市で丸紅フィリピンの下田茂社長らと会談した。下田社長は、税制改革第2弾「企業復興税優遇法(CREATE)」の発効に伴い昨年から発生していた付加価値税(VAT)に関する問題を直接大統領に提起。大統領は「政府は現在この問題に取り組んでいる」と応じ、「問題に対処するためにCREATEの改正も行う」と明言した。
大統領府広報室が29日に出した声明によると、下田社長は①輸出志向企業に商品・サービスを供給する間接輸出企業に課される12%のVAT②国内市場志向企業が現地で商品・サービスを購入する際に掛かるVATに還付制度がないこと③VAT還付手続きの煩雑さ、遅さ、および予測不可能性――という三つの問題を大統領に伝えた。
大統領は現在の取り組みを説明した上で、「修正の提案があったらぜひ参考にしたい。また、他国で事業を営んだ経験からどんな制度が効果的だったか教えてもらいたい」と応じた。
大統領府広報室によると、CREATE法と施行細則の改正案では、輸出企業に対する間接輸出企業の販売物・サービスが、輸出企業の登録事業・活動に「直接かつ排他的に」用いられる場合に、その売上をVATゼロレートの対象とすることが明記されるという。
CREATE施行以前は、比経済区庁(PEZA)登録企業の国内調達については「クロス・ボーダードクトリン」により無条件にVATゼロレートが適用されていたが、CREATE施行後は、クロス・ボーダードクトリンが無効化されるとともに財務相傘下の税優遇措置再検討委員会(FIRB)に許認可権が集約され、PEZA登録企業であっても物流を担うエコゾーン・ロジスティクス・サービス(ELSE)企業などについては、一時VAT納税が請求された。
フィリピン日本商工会議所や日本大使館の働きかけにより、今年2月にELSE企業も戦略投資優先計画(SIPP)に入っていると解釈する通達が貿易産業省傘下の投資委員会(BOI)から出され、ELSE企業に対するVAT徴税は停止されたものの、その後も既に収めたVATの還付手続きに関する混乱が続いてた。(竹下友章)