マニラ空港再整備事業を 1700億ペソの政府提案型を採用
国家経済開発庁理事会が政府提案型のマニラ空港再整備事業計画をスピード承認
マルコス大統領がトップを務める国家経済開発庁(NEDA)理事会は18日、ニノイアキノ国際空港(マニラ国際空港、首都圏パサイ市)の官民連携(PPP)枠組みによる再整備事業提案を承認した。運輸省とマニラ国際空港公団が提出した一般競争入札を採用した政府提案型の事業計画で総事業費は1700億ペソ。アボイティスやアラヤ財閥、JGサミットなど国内有数の大手複合企業7社らが企業連合体を結成して政府に提案していたマニラ空港再整備計画(総事業費2670億ペソ)は却下された格好となった。19日の英字紙スターなどが報じた。
承認されたマニラ空港再整備事業計画はアジア開発銀行の技術支援も受けており、マニラ空港の年間旅客収容能力を現在の約2倍に相当する6200万人に引き上げるほか、航空交通管理能力を高めて離着陸数を1時間当たり現在の40回から48回に引き上げる。事業請負業者による空港運営期間は15年間となっており、さらに10年間延長することが可能となっている。
大統領府によると、今回のマニラ空港再整備事業提案に関する同庁理事会の承認手続きはわずか7週間ほどで、これまでに承認された官民連携事業計画の中では最速だったという。観光業をはじめ経済再開に向けて空港インフラの再整備が急務というマルコス政権の強い意図が感じられる。
NEDA理事会は航空当局に対し、競争入札の準備を開始し、今年末までに発注できるように指示したという。
19日のNEDA理事会ではミンダナオ地方北部の主要空港の一つであるラギンディガン国際空港に関する民間企業提案の再整備事業計画(総事業費127億5000万ペソ)も承認された。
マニラ国際空港再整備事業については民間提案型の事業計画がこれまでに何度も提出されてきたが実現には至らなかった。2018年2月にはアボイティスやアヤラ、JGサミットやメトロパシフィックなど主要な複合企業7社が企業連合体を組んで事業総額3500億ペソで35年間の運営期間を定めた事業提案を行ったが、運輸省との交渉が暗礁に乗り上げ、その後、事業規模を縮小して事業費1020億ペソで15年間の運営期間に縮小したものの、ドゥテルテ政権によって拒否されている。
その後、ほぼ同じ複合企業らがもう一度、マニラ国際空港コンソーシアム(MIAC)を結成して事業総額2670億ペソで25年間の運営期間を盛り込んだ新提案を政府に提出していたが、今回も却下された。(澤田公伸)