「比を観光大国へ」 大統領が中期計画承認
大統領が「比の観光大国化」達成のための中期計画である観光開発計画を承認
フラスコ観光相は16日、マルコス大統領が政府の観光振興中期計画である観光開発計画(2023―28)を承認したことを発表した。目標は「比の観光大国化」。5カ年計画の最終年である28年までに累計5200万人のインバウンド観光客誘致、3470万人の国内雇用創出を目指す。フラスコ観光相は会見で、大統領の承認に感謝を表した上で、「比の文化、遺産、アイデンティティーに根ざした観光産業を確立する」と意気込みを語った。
同計画は、全国的な観光商品開発と広報、体験型観光の強化、観光開発に関する意思決定の仕組みの強化など、ソフト面の取り組みだけでなく、観光発展の阻害要因と考えられるインフラ不足の解消も含む。フラスコ大臣は「インフラに関して比は東南アジア諸国連合(ASEAN)主要国の中でも遅れを取っている。主要観光地からまだ知られていない観光地まで、均等に質の高い道路を建設することが計画の第一歩だ」と説明した。
観光インフラ整備にはインターネット環境整備や排水・給水・下水システム整備なども含まれ、国土計画的な色彩も帯びる。航空便増加も計画されており、クラーク~カティクラン(イロイロ島)、クラーク~ブスアンガ(パラワン島)、セブ~バギオ、セブ~バンコク間の直通便が新設される。
また、中国やインドなど大きな市場へのビザ緩和も計画。団体旅行の再開や到着ビザ発給、観光に関する着陸許可発行のほか、電子査証システム(E―ビザ)の導入も進める。
会見に同席したウイ情報通信技術相によると、現在は情報通信技術相、観光省、入管、外務省が共同でE―ビザ導入に向け作業を進めており、業務委託先の民間業者を選定している段階。導入されればビザ発給能力が10倍になる見込みという。
同相はまた、観光開発の一環としてインターネット接続環境に問題のある94観光地を特定し、数カ月内にうち46観光地に無料インターネット環境を整備すると発表。年末までに全94カ所の整備を終える見込みとした。整備対象地としてはバギオ市、パラワン島、ボラカイ島、セブ島の観光地が優先リストに含まれている。
観光省によると、昨年の観光業は国内・インバウンド合わせて1兆7400億ペソの経済効果、520万人の雇用創出効果があった。(竹下友章)