VAT還付提案を承認 外国人観光客向け 業界活性化促す
民間部門諮問評議会(PSAC)観光部門の提言に基づき、マルコス大統領は、外国人観光客の増加を目指して付加価値税(VAT)還付プログラムの実施を承認した
大統領府報道班は29日、民間部門諮問評議会(PSAC)観光部門の提言を受け、マルコス大統領が外国人観光客向けの付加価値税(VAT)還付プログラムを2024年までに実施する提案を承認したことを明らかにした。また、中国やインドの旅行者を対象とした電子査証(e―VISA)付与プログラムも承認したという。
PSACの提言には、外国人観光客が購入し国外に持ち出す土産品などに関するVAT還付制度のほかに、今年中に中国人やインド人を優先した電子査証の付与プログラム、ワンヘルスパス(OHP)=比政府に対して渡航情報を事前に提出するオンラインフォーム=を廃止して保険・出入国管理・税関への申請を統合する新たな申請プラットフォームの導入が含まれている。また、空港における旧式の案内板や大音量でのアナウンスの撤廃、旅行税が航空券購入代金に自動加算する方針も盛り込んだ。
26日に大統領との会合で提出された同政策案は空港のインフラや運営の改善、国家ブランドとイメージの管理、観光投資の促進など比観光産業の発展を目的としている。大統領府によると、近くこれらの政策案を組み込んだ大統領令を発令する予定という。
PSACによると、入国審査や税関、健康管理や検疫などを一括統括するアプリの開発も進行中だ。データ入力の簡素化や交通状況、ホテル情報などのデータ管理も可能となる。ネット接続環境があれば搭乗前や機内でも入力可能にする。
マルコス大統領は海外旅行者の手間が省け、当局が水際におけるセキュリティ確保を実現できるとして空港での入国管理や税関手続きのデジタル化の必要性を強調している。
PSACは農業、デジタル化、ヘルスケア、インフラ、雇用創出、観光の6つの主要産業セクターにおける政府の経済目標達成のため、大統領に技術的助言をするビジネスリーダーや専門家で構成されている。
2022年の訪比観光客は265万人となり、うち外国人は202万人に上った。訪比観光客はコロナ禍で入国規制が厳しかった21年の16万人を大幅に上回ったものの、コロナ禍前の826万人には遠く及ばない状況が続く。観光省は今年、訪比観光客480万人、及び観光収入2兆5800億ペソを目標にしている。(沼田康平)