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1月14日のまにら新聞から

大統領 ダボス会議出席へ 国富ファンド紹介で成立に向け圧力

[ 973字|2023.1.14|経済 (economy) ]

世論調査で「貧困状態」と回答した割合が51%、過去3年で最高水準となった

 外務省は12日、スイスのダボス市で16日から20日にかけて開かれる世界経済フォーラム(WEF)の第53回年次総会(ダボス会議)にマルコス大統領が出席することを発表した。例年、各国の首脳・閣僚・中銀総裁、国際機関代表、多国籍企業経営者などが集結するダボス会議だが、今年はウクライナ危機を背景に国際的な政財界連携の必要性が増していることを反映し、出席者は過去最多になる見込み。一方で、東南アジア諸国連合(ASEAN)からの参加者の中では、マルコス大統領が唯一の国家首脳となる見込みで「東南アジア代表」としての性格も帯びるとみられる。

 ソレタ外務次官は12日、国内で議論を呼びながら昨年12月15日に下院を通過した国富ファンド「マハルリカ・ウェルス・ファンド」について、大統領が同会議で世界の政財界リーダーに向かって紹介する予定であることを明らかにした。

 同ファンドの上院での審議はこれからだが、同ファンド設立を望む大統領は「これ(ダボス会議での発表)は国富ファンド設立決定につながる」と発言しており、国外発表を通じて既成事実化を図ることで、議会に対し、法案を成立させるよう圧力をかける意向だ。

 大統領は国富ファンド以外にも、ASEAN地域の潜在力、食料安全保障、エネルギー問題などについても議論する予定。さらに会期中に、南アフリカ共和国のラマポーザ大統領、ベルギー王国のクロー首相、欧州連合(EU)の政策執行機関・欧州委員会のライエン委員長らと会談する。

 さらにスイス訪問に際して在スイス比人らとの交流も行う予定。比外務省は約700人の在スイス比人が大統領との交流会に申し込んだと発表している。

 下院の「マハルリカ・ウェルス・ファンド」法案は大統領の母方のいとこにあたるロムアルデス議長と長男のサンドロ・マルコス与党院内副総務らが昨年11月28日に提出。最優先法案として1カ月に満たない審議期間で可決した。

 「自由民」や「戦士」を意味する「マハルリカ」という名称は、故マルコス元大統領が抗日ゲリラ時代に同名の部隊を率いていたと主張し、スペイン国王フェリペ二世にちなむ「フィリピン」に代わる新たな国号に設定しようとしたこともある。中高年の比国民にとっては現大統領の父・故マルコス元大統領をしのばせる名となっている。(竹下友章)

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