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1月10日のまにら新聞から

「新年にふさわしい行事」 首都圏地下鉄の掘削開始

[ 1164字|2023.1.10|経済 (economy) ]

バレンズエラ市で首都圏地下鉄CP101区間のトンネル掘削開始

掘削機のスイッチを押すマルコス大統領(写真中央、大統領府公式フェイスブックより)

 首都圏バレンズエラ市の首都圏鉄道基地建設予定地で9日、地下鉄用トンネルを掘る掘削機の発進式が開かれた。同市ミンダナオ通り沿いバランガイ(最小行政区)ウゴン周辺に建設される車両基地・イーストバレンズエラ駅から、ケソン市ディリマン地区に建設予定のノースアベニュー駅までの6・9キロ区間=CP101=が対象で、同区間のトンネル掘削は25年8月に終わる予定。また、両駅の間にはキリノハイウエー駅=ケソン市、タンダンソラ駅=同=が建設される。

 式にはマルコス大統領、バウティスタ運輸相、在比日本国大使館の松田賢一次席公使、国際協力機構(JICA)フィリピン事務所の坂本威午所長のほか、同事業を受注したオリエンタルコンサルタンツグローバルの米澤栄二社長、清水建設の大迫一也土木国際支店長らが出席。掘削機の発進スイッチは大統領が押した。

 マルコス大統領はスピーチで「これは比初の地下鉄事業。私の政権は比人の生活水準を向上させるということを使命としており、新年にふさわしい式典だ」と喜びを表した。その上で「地下鉄だけでなく、多くの比のインフラ事業は日本政府とJICAの長年の協力がなければ実現しなかった」と感謝を表した。

 JICAフィリピン事務所の坂本所長は「このイベントは、比初の地下鉄事業の中でも最初の契約の、最初の掘削機発進式だ」とし、初めて尽くしであることを強調。その上で、土地収用や通行権問題、タイムリーな予算配分と支払い、コロナ禍など様々な困難に直面するなか、「全速前進」で地下鉄事業を推進する比政府に感謝を表した。

 在比日本国大使館の松田公使は、最初の首都圏地下鉄事業が計画されたのは故マルコス大統領期の1973年だったと説明。「この事業は(故マルコス大統領の)遺産とも考えてよく、いま事業の実施は(息子である)マルコス現大統領の手中にある」とし、マルコス家2代にわたる事業であることを強調、日本政府の全力の支援を約束した。

 73年の地下鉄建設計画は旧マルコス政権の要請を受け、旧海外技術協力事業団=JICAの前身=が比の交通システムを調査し、提言した事業の一つだった。

 現行の首都圏地下鉄建設事業は、JICAのODAの下、1日35億ペソの経済損失が発生していると試算される首都圏の深刻な渋滞の緩和を目的とする。北はバレンズエラ市イーストバレンズエラ駅から、南はパラニャーケ市ビクタン駅およびマニラ空港(ニノイ・アキノ国際空港)までを結ぶ計画だ。運輸省によると、地下鉄道の全長は約33・1キロで、1日52万人の旅客運送が可能になる。供用開始は現政権中の27年11月を予定。

 JICAは18年に1045億3000万円(第一期)、22年に2553億700万円(第二期)の借款契約を結んでいる。(竹下友章)

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