改革で雇用創出・貧困削減 NEDAが比開発計画発表
国家経済開発庁が2023~28年の開発計画発表。「雇用の再活性化と貧困削減の加速
国家経済開発庁(NEDA)のバリサカン長官は19日、現政権の経済計画となるフィリピン開発計画2023―2028の内容を発表した。全体の目標は「高度経済成長軌道への回帰、および繁栄し包摂的で強靭(きょうじん)な社会に向けた経済社会改革を通じた雇用の再活性化と貧困削減の加速」と銘打たれた。
NEDAのサラ・ドゥカネス次官補は、2028年までの数値目標として①経済成長率6・5~8・0%②失業率4・0~5・0%③全就業者に占める給与所得者構成比53・0~55・0%④インフレ率2・0~4・0%⑤食料インフレ率2・0%⑥財政赤字の対国内総生産(GDP)比3・0%⑦累積債務残高対GDP比51・1%⑧世界イノベーション指数上位3分の1入り⑨貧困率9・0%――を挙げた。
「経済社会改革」の内容については、家計、企業、政府部門に分けて方針を提示。家計部門に関しては①教育・生涯学習の促進、健康の増進、住みやすいコミュニティー作りを通じた人的資本の構築と社会開発②食料安全保障、適切な栄養摂取の推進、社会保障の強化を通じたぜい弱性の削減と購買力の保護③被雇用能力(エンプロアビリティー)の増進、就業機会の拡大、および共通の労働市場管理の枠組み作りを通じた所得稼得能力の開発――の三つを挙げた。
また生産(企業)部門に対しては、優遇措置による貿易促進、イノベーション促進のための技術開発投資、産業間連関の強化、規制の調整による競争強化などを通じ①農業・農業関連事業の近代化③製造業の活性化③サービス産業の再活性化――を目指すとした。
政府部門については①政府規律・行政効率の向上②包摂的、革新的な帰任有政策を通じたマクロ経済の安定③治安、安全保障の確保と司法制度の改善④インフラの拡大と更新⑤災害対策、気候変動対策の加速化――を挙げた。
▽前政権との違い
前政権との違いについては①汚職削減につながるデジタル政府化やデジタイル経済の推進②物的インフラや情報通信技術を用いた市場同士や都市農村間、外国との「接続性」の増進③官民連携(PPP)事業の再構築、および住居建設、交通、デジタル部門などへの民間企業の参画促進④高成長製造業の周辺に情報通信業、コンテンツ産業、観光業、物流業などサービス産業の生態系を育てる「サービス化」⑤イノベーションを起こす環境の確立と強化⑥地方自治体の対等な経済協力関係の構築――の六つを説明した。
雇用創出の年間目標は設定するかとの記者団の質問にバリサカン長官は「数値だけ見ると比の失業率は既に先進国並みに低い。重要なのは雇用の質だ」と指摘。「正規雇用かどうかや、製造業や観光業などの業種でより質の高い仕事に就く人を増やす必要がある」とした。
昨年の失業率は8・0%だったが、今年1~7月の平均失業率は5・7%に下がっている。(竹下友章、ジャスパール・タン)