経済成長予測7%超え 来年はASEANトップ
NEDA、今年の比経済成長率は7%超え、来年は減速するもASEAN最高の6.4%と予測
国家経済開発庁(NEDA)のバリサカン長官は27日、今年の経済成長率が7%を超えるとの予想を示した。また、格付け大手ムーディーズは28日に公表した報告書で、2023年の比経済成長率について、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要5カ国に中国・インドを加えた7カ国の中で最高となる6・4%と予想した。
今年の比の経済成長率は、1~3月期が8・3%、4~6月期が7・5%、7~9月期が7・6%で平均7・76%となっており、現時点では6・5~7・5%の政府目標を超えている。
今月13年8カ月ぶりに5%台に達した政策金利の影響を本格的に被ると見込まれる第4四半期は成長の鈍化が予想されるが、バリサカン長官は「政府目標は第4四半期の成長率が3・3%を下回らない限り達成可能だ」と説明。今年の比の成長率を6・6%と予想をしていた格付け大手フィッチは最近、第3四半期成長率が予想以上の高水準だったことを受け、予測値を7・4%に上方修正している。
29日の英字スター電子版によると、格付け大手ムーディーズは23年のアジア新興諸国の経済について、「比の成長率は6・4%に達し、アジア太平洋地域の成長をリードする」との予想を提示。予測成長率が比に次いで高かったのはベトナムで6・1%。その後に中国(5・1%)、インド(5・0%)、インドネシア(4・7%)、タイ(3・9%)、マレーシア(3・8%)が続いた。
来年の比の成長要因について同社は「コロナ防疫規制期間がASEAN最長だったことから、経済再開の揺り返しによる家計・民間企業の需要増加が引き続き景気回復を主導し、政府による教育・公衆衛生、インフラへの財政支出も成長を下支えする」と説明した。
その一方で、「世界的なインフレ高進と政策金利引き上げによる世界経済の停滞は、アジアの輸出志向工業国に悪影響を与える」とし、アジア新興国の中でも輸出依存が強い国ほど成長が鈍化すると説明。他の東南アジア諸国と比べ輸出志向の工業化が進んでいない比は、そのためかえって世界経済停滞の悪影響を受けにくいと分析された。
また、今年10月に7・7%という約14年ぶりの高水準を記録するなど高進する比のインフレについて、「今年通年のインフレ率は5・5%、23年は5・4%になる」と予測。2年連続で政府目標(2~4%)を超過し、24年になってようやく目標レンジ内の3・1%に収束するとした。(竹下友章)