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6月25日のまにら新聞から

交渉「完全に打ち切り」 中国との共同海洋資源探査

[ 732字|2022.6.25|経済 (economy) ]

ドゥテルテ現大統領はレクト礁比中共同探査計画を完全に打ち切るよう命令した

 推定200億ドル相当の天然ガスが埋蔵されていると推定される、南シナ海(比名・西フィリピン海)の南沙諸島(比名カヤラアン諸島)にあるレクト礁に関する比中共同資源探査計画について、ロクシン外相は23日、ドゥテルテ現大統領が中国との交渉を「完全に打ち切るよう」命令を出したと発表した。同礁はパラワン島の西方約140カイリ(250キロ)に位置し、比の排他的経済水域(EEZ)内。2016年の仲裁裁判でもそのことが確認されたが、中国側は認めていない。そんな中ドゥテルテ政権下の2018年に比中の共同資源探査に関する基本合意がなされ、2国間での資源開発が模索されていた。24日の英字紙スター電子版など各紙が報じた。

 同外相は声明で「原油、天然ガスは比にとって極めて重要であり、3年間、現憲法下でできる限りの可能性を検討し、王毅外交部長も最後まで希望を捨てなかった。だが、自国主権をわずかにも犠牲にすることはできなかった」と説明。その上で「私はもう完全に店を閉めた。保留事項はない。全て終わった」と断言した。

 フィリピン大海事・海洋法研究所のジェイ・バトンバカル准教授は「比中双方の交渉の行き詰まりがはっきりした」と指摘。「比憲法(第12条2項)は海洋天然資源開発に制約を設けており、比国の完全な管理と監督下に置かれる必要がある」とし、領土問題を棚上げにした共同探査の実現不可能性を説明した。

 2018年、比中政府は資源配分について「比6、中国4」とすることで合意。しかし、19年の会合で基本合意書の履行に関する法的メカニズムや課税などの項目で合意に至らず、コロナ禍も重なり計画が中断。今年4月にはドゥテルテ大統領が「次期政権に委ねる」と発言していた。(竹下友章)

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