ハイブリッド方式で総会開催 フィリピン日本人商工会議所
比日本人商工会議所が会員総会を対面式とリモートを合わせたハイブリッド方式で開催
首都圏マカティ市のホテルで18日午後、フィリピン日本人商工会議所の2022年度会員総会が開催された。3年ぶりに対面で会員が集まり記念講演や懇親パーティーも開かれたほか、セブやミンダナオの日本人商工会議所の会員らもリモートで一部参加できるなどハイブリッド方式で行われた。
来賓として参加した越川和彦駐フィリピン日本国大使は挨拶で、昨年に日比国交回復65周年を迎えたことや17年の日比首脳会合で合意された「官民一体での5年間での対比1兆円支援約束」が昨年7月に達成したことなど日比関係がさらに深化したことを紹介した上で、6月末からマルコス新政権が始まるとみられることから新政権との情報共有を進めビジネス環境向上に向けて取り組むことを約束した。
また、セブ日本人商工会議所の平原良洋会頭は昨年12月中旬の台風オデットによる同会議所事務所の被害に関してフィリピン日本人商工会議所から支援・見舞金が寄せられたことに感謝した上で、コロナワクチン接種が首都圏に比べて遅れたことやデルタ株感染の拡大などによる感染予防費用の負担増や人員調整など様々な苦労に見舞われ今年2月中旬までは苦しい経営が続く会員が多かったと説明。22年1月で正会員が133社と21年に比べて2社の減員となったという。しかし、セブ島とマクタン島を結ぶ第3の橋である高速道路も4月30日から営業開始し、また円借款で第4の橋と沿岸道路建設計画が進むなど徐々にセブ地域の経済再開や発展が期待されていると述べた。
さらにミンダナオ日本人商工会議所の中尾圭佑会頭も総会で挨拶し、ダバオでは首都圏よりさらに厳しい防疫規制が敷かれるなど多くの事業所が閉鎖に追い込まれたものの追加接種プログラムなどが想定より早く実施されるなどし感染も収まって来ると同時に、次期副大統領に就任確実なサラ・ダバオ市長の手腕などもあり、欧州連合の12カ国が相次いでダバオに総領事館を設置するための活動に着手するなど、海外からも注目度が高まっていると紹介した。
今年3月の臨時理事会でフィリピン日本人商工会議所の新会頭に選出された嶋田慎一郎氏=アジア・太洋州三井物産マニラ支店長=も挨拶で、「昨年施行された税制改革法第2弾CREATE法が成立し、今年に入って外資規制関連3法案も承認されたことから、外国企業にとって比市場への投資環境は改善傾向にある」と期待感を示した。また、嶋田会頭を始め、松永啓一副会頭、藤井伸夫副会頭、下田茂総務理事、橋田武志財務理事ら専務理事役員の選任について総会で全会一致により承認された。21年度の事業報告案や決算案、および22年度の事業計画案や予算案もそれぞれ紹介され、承認された。
最後に、日本貿易振興機構の岩松勇海外調査部長が「フィリピンを中心としたASEANの日系企業ビジネスについて」と題して記念講演を行った。米中対立の固定化とウクライナ危機による経済安全保障への対応が加わり、サプライチェーンが「分散化」される方向にあることから、その受け皿としてフィリピンを含むASEANの重要性が増しているとした上で、そのサプライチェーンにも人権尊重と脱炭素化への取り組みが求められる傾向が強まっていることなどを指摘した。(澤田公伸)