一部公共サービス外資100%可へ 通信や航空、鉄道など
通信や航空の100%外資所有を認める改正法案が上院を通過、両院協議会へ
上院は15日、外国人出資比率が40%以下に制限されている公共事業の定義を見直す公共サービス法改正法案を最終読会で承認した。下院も14日に同様の法案を可決しており、今後、両院協議会ですり合わせが行われる。上院法案によると、通信、航空、内航海運、鉄道などの事業に対し100%外資による運営が認められる。16日付英字紙ビジネスワールドが報じた。
在フィリピン日本人商工会議所も加盟する外国人商工会議所連合が今議会での可決を訴えていたほか、ドゥテルテ大統領も優先審議法案に指定するなど、外資規制を緩和する同法案の可決を期待する声が高まっていた。
今回上院で可決されたのは上院法案第2094号で、85年前に出来たコモンウェルス法第146号に含まれる公共サービスの定義に関する条項を修正するもの。1987年憲法によって公共サービス事業に対する外資比率が40%以下に制限されているため、外国人投資家らがこの定義の変更を長年にわたり求めてきた。
上院法案によると、公共サービスの定義を、配電・送電、石油製品などのパイプラインによる移送、水道および排水処理システム、空港や港、公共交通機関や高速道路に関連する事業に限定するとした。
この定義から外れる通信、航空、内航海運、鉄道、地下鉄、かんがい施設などについては外資による100%所有が認められることになる。
上院法案を起草したグレース・ポー上院議員は「経済をより多様な投資家に開放することで、フィリピン人により良い選択肢を提供することができる」と同法案の利点を強調した。上院の最終審議で反対票を投じたのはホンティベロス、パギリナン、レクトの3上院議員。ホンティベロス議員は「通信事業のような多くの極めて重要なサービスの100%外資所有を認めたことに驚いた」とした上で、「フィリピンはサイバー攻撃に対する適切な対抗手段も持たないのに、ただ自分たちの防御を放棄することに恐れを感じる」と特に通信事業分野の外資への開放に懸念を表明した。(澤田公伸)