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11月22日のまにら新聞から

イケア比1号店が25日オープンへ パサイ市に世界最大の旗艦店

[ 1325字|2021.11.22|経済 (economy) ]

家具量販大手イケアのフィリピン1号店が25日、パサイ市モールオブアジアにオープンする

イケア店舗ツアーに参加するメディア関係者とユーチューバー=19日首都圏パサイ市、竹下友章撮影

 スウェーデン発祥の家具量販大手イケアのフィリピン1号店が25日、パサイ市モール・オブ・アジア(MOA)にオープンする。世界で462番目のイケア店舗となるパサイ店は、5階建てで延べ床面積6万8000メートルと世界最大。5階はオフィスとして使われる。従業員は約500人。店舗では家具、電化製品、ぬいぐるみなど8000種類以上の商品が販売される。

 ショールームでは、様々なコンセプトのリビングルームを展示。ミレニアム世代(20〜40歳)を意識したゲーミングチェア、デスク、可動式モニターラックなどを組み合わせた家具一式(2万8990ペソ)や首都圏の住宅事情を考慮し「狭い部屋に大きなアイデアを」をコンセプトにした家具一式など、様々なライフスタイルに合ったレイアウトが展示される。

 展示バスルームには、比の庶民生活に必須の手桶(タボ)を配置。イケア・フィリピンのビジネスマネージャー、サニー・サブラダ氏は、まにら新聞の取材に対し「比への市場調査を踏まえ、タボは取りそろえた」と胸を張った。

 レストランではスウェーデン風ミートボールなど多彩なメニューを提供。850人が利用可能だ。

 防疫規制を順守するため、入店は予約制。団体客は3人までで、ウェブサイトから予約する。

 ▽「経験価値」戦略

 同店のゲオルグ店長は19日、取材陣らに「イケアは顧客に商品だけでなく、心惹かれインスピレーションを与える経験を提供する」と述べ「コトづくり」を通じて購入過程まで含めた顧客の満足「経験価値」にフォーカスする同社の戦略を説明した。

 プロモーションも経験価値を重視する。19日にはメディア関係者とユーチューバーなど「インフルエンサー」約100人を招き店舗ツアーを開催。参加者はカメラの前で各自の感想を述べ、ツアー体験を映像に収めた。

 牛の毛皮を模したじゅうたんや造花販売コーナーなどフォトジェニック(写真映え)な一角では「サムネイル」と声を弾ませながら参加者が順番に撮影する様子も見られた。ガイド役のスタッフも、単に解説だけでなくクイズをはさむことで注意を引きながら店舗情報を紹介した。

 ▽投資の決定要因

 イケアの東南アジア諸国連合(アセアン)進出自体は早く、シンガポールには1978年、マレーシアは96年、タイは2011年、インドネシアは14年に店舗を展開。比は他のアセアン諸国より後回しにされた印象だ。

 その理由についてマネージャーのサブラダ氏は「購買力の上昇や消費者嗜好(しこう)、生産・輸送コストなど、様々なファクターを調査し計画的に出店した結果」と説明。

 耐久消費財への需要が急拡大するとされる一人あたりの国内総生産(GDP)が3000ドルを超えた年を見ると、シンガポールが78年、マレーシア92年、タイ06年、インドネシア10年、フィリピン18年であり、出店の順序・時期と符合。大きな要因になっているといえそうだ。

 さらにサブラダ氏は政治要因も指摘。比への出店が本格検討されたのは16年で、ドゥテルテ政権の初年。強権的な政策が奏功し「治安が劇的に改善したことが投資計画を本格化させた」とした。(竹下友章)

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