GDP7.1%増 予想軒並み上回る可能性
第3四半期のGDP成長率は7.1%となり、中銀予想値6.2%を上回る
比統計庁(PSA)は9日、第3四半期(7〜9月)の国内総生産(GDP)伸び率が前年同期比で7・1%だったと発表した。比中央銀行の予想値6・2%、コロナ禍前の19年同期成長率6・3%を共に上回った。88年第4四半期以来の最高の12・0%を記録した前期(4〜6月)に引き続き高成長率を維持した格好となり、10月からの防疫規制緩和の成果が反映される21年通年の成長率では、政府と主要国際機関の予想を軒並み上回る可能性も見えてきた。
21年の比の成長率について、国際通貨基金(IMF)は3・2%、世界銀行4・3%、アジア開発銀行(ADB)は4・5%と予想していた。それに対し第1〜3四半期までの平均成長率は4・9%となり、首都圏での10月16からの警戒レベル3、11月5日からの警戒レベル2への緩和が反映される前に3国際機関予想を上回った。国家経済開発庁(NEDA)のチュア長官は「4〜5%という政府予想を上回る可能性さえある」と述べた。
産業の3大分類別に見ると、第三次産業(サービス産業)が8・2%、第二次産業(鉱工業、建設業など)が7・9%と順調に回復。他方、第一次産業(農林水産業)はマイナス1・7%と低迷した。9月に3万ヘクタールの農業被害を与えた台風13号(比名ジョリーナ)などの災害に加え、防疫規制下の入域制限による生鮮食品の流通コスト増と大量廃棄も影響したと見られる。
業種別に見ると、建設業が16・8%と2桁成長。卸・小売・自動車修理業は6・4%、製造業も6・3%と堅調な回復を見せた。
他方、需要面から見ると、政府のインフラ投資や企業の設備投資を含む総資本形成が22・0%と急伸。公務員給与や政府による消費財購入など政府最終消費支出も13・6%と2桁成長し、家計最終消費が7・1%の伸びだった。
政府による史上最大規模の予算執行に加え、現行のIRC(金利回廊)制移行後最低の政策金利(2・0%)をとる中銀の低利政策が設備投資・住宅投資を促進させ、マクロ経済の成長をけん引した格好だ。
ただし、1〜9月のGDPは13兆3230億ペソと19年同期と比べるとなお5・7%低く、コロナ前には回復していない。
▽FDI増加も貢献
この結果を受け、ロペス貿易産業相は「第4四半期は経済回復がより強固になる」とコメント。また、GDP統計には直接表れない成長要因として、ワクチン接種の進展と海外直接投資(FDI)の増加を指摘。「今年7月までのFDIは55億6000万ドルで、20年同期比で43・7%、コロナ前の19年と比べても30・2%増加している」と説明した。(竹下友章)