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3月10日のまにら新聞から

失業率 過去最悪の10.3% 20年、コロナ禍響き厳しい年に

[ 1275字|2021.3.10|経済 (economy) ]

比統計庁によると昨年の平均失業率は10.3%。過去15年間で最悪

 フィリピン統計庁(PSA)が8日発表した2020年労働力・雇用推計(速報)によると、昨年の平均失業率は10・3%で、05年4月に失業者の定義が変更されて以降の15年間で最悪を記録した。失業者は約450万人。就業者数は3940万人で、前年の4240万人から300万人減った。新型コロナウイルスの流行に伴い、企業の閉鎖や事業縮小が相次いだためで、昨年は労働市場にとってきわめて厳しい年となったことが改めて裏付けられた。

 ▽3分の2が若年層

 年間の労働力・雇用推計は、四半期ごとの調査の平均値に基づいている。20年の失業率10・3%は、前年19年の5・1%や、比開発計画(17〜22年)で設定された20年目標の3・8〜5・2%を大きく上回った。

 失業者のうち男性が63・8%で、女性が36・2%。失業者の65・7%を15〜34歳が占めた。地域別の失業率では、イロコス(13・4%)、中部ルソン(13・1%)、首都圏(11・7%)、カラバルソン(11・6%)、コルディリエラ行政区(10・4%)、中部ビサヤ(10・3%)の6地域で2桁を記録した。

 ▽農業のみ比重増す

 20年の労働力参加人口(働いているか、積極的に仕事を探している人)も4390万人と、過去15年で最低だった。労働力人口(15歳以上の人口)7370万人に対する割合である労働力参加率は59・5%となり、前年の61・3%から1・8ポイント低下。就業者数の部門別比率ではサービス業が56・9%(前年は58・4%)を占め、農業が24・8%(同22・2%)、工業が18・3%(同19・3%)で、農業の比重が大きくなっている。

 ▽有職も仕事なし9.6%

 就業者のうち賃金・給与労働者は62・9%で前年(64・6%)より減り、逆に自営業者が28・3%と前年(26・8%)より増加。労働時間では、週40時間以上のフルタイムが就業者の55・9%で前年(69・3%)より大幅に減り、週40時間未満のパートタイムが34・5%(前年29・9%)と増加。労働時間調整や病気、けが、休暇、悪天候、労働争議などの理由で、雇用されているが仕事をしていない人が9・6%と、前年(0・8%)より激増している。

 平均労働時間は週39・4時間で、前年の42・1時間と比べ2・7時間減った。

 ▽不完全雇用640万

 また、労働時間増や追加の仕事、新たな仕事を望んでいる不完全被雇用者は640万人で失業者の1・5倍を超し、労働力参加人口の16・2%(前年は13・8%)に上っている。

 GDP(国内総生産)成長率で比は20年にマイナス9・5%を記録。第2四半期のマイナス16・9%が最悪だったが、第4四半期もマイナス8・3%と大きく落ち込み、21年第1四半期も縮小の予測が報じられている。

 9日付英字紙インクワイアラーは「比はコロナウイルスのまん延を封じ込めるため、東南アジアで最も長く、最も厳しい封鎖を課したが、その結果、戦後最悪の不況に陥った」と報じている。(谷啓之)

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