物価上昇率6.0%に 11月 今年初めて減速 中銀は施策に手応え
11月CPI上昇率は前月比0.7ポイント減の6.0%。農産物輸入自由化の効果か
フィリピン統計局(PSA)は5日、11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比6・0%上昇となり、前月の同6・7%から減速、7月以来の低水準となったと発表した。CPIが前月比で下落するのは昨年12月以来。比中央銀行は「コメ輸入自由化などの政策が決め手となり、インフレは中銀の予測通り下降し始めた」と歓迎した。
品目別では食品・飲料が前月比1・4ポイント低い8%となり、減速が目立った。
9月末にドゥテルテ大統領が外国産農産物の量的制限など非関税障壁を撤廃して輸入を自由化したため、コメの上昇率は同2・6ポイント減の8・1%にとどまった。トウモロコシは同2・7ポイント低い4・8%と大幅に減速、特に首都圏では前月の8・4%からマイナス0・8%に転じるなど劇的に下落した。
ほかにも住宅価格・水道光熱・燃料費が前月比0・6ポイント低い4・2%となり、国際的な燃料価格下落の影響が早くも表れているもようだ。
地域別では首都圏の上昇率は前月比0・5ポイント減の5・6%だった。全国で最も物価上昇率が高かったのは前月と変わらずルソン地方南部のビコール地方だったが、前月比1ポイント減の8・9%とやや改善した。
同地方北部カガヤンバレー地域でも7%(同1ポイント減)、ミンドロ島、パラワン島などミマロパ地方では7・7%(1・3ポイント減)など、ほとんどの地域で改善がみられた。一方で政府目標の4%以下に収まった地域はなかった。
ドミンゲス財務、ペルニア国家経済開発、ジョクノ予算管理各長官は同日、連名で声明を発表し「クリスマス休暇が近づく中、インフレ減速が貧困層の負担軽減につながれば喜ばしい」と述べ、物価安定に向けさらに努力を続けるとした。
一方、比労働組合連合ALU—TUCPは「インフレ緩和という統計結果は実際の市場での価格と食い違っている」と述べ、数字自体に疑問を呈した。(伊藤明日香)