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4月28日のまにら新聞から

経済への打撃も深刻化

[ 697字|2003.4.28|経済 (economy)|新聞論調 ]

アジアのSARS禍

 新型肺炎(SARS)の記事が新聞のトップを飾り、世界経済への打撃も深刻化し始めた。

 中国を筆頭に三十カ国以上で既に二百三十五人が死亡し、四千百人の感染者が出た。フィリピンとマレーシアでも感染者が発見され、香港、シンガポール、タイの感染者数も増加している。

 医療関係者は努力を重ねているが、予防法が確立されるまでにさらに多くの犠牲者が確実に出る。検査機器の導入が進んでいるが、現状では病原ウイルスさえはっきりと特定されてはいない。

 専門家によると、SARSの感染力は決して強くない。一九一八│二〇年に合計二千五百万人の死者を出したスペイン風邪ほどの流行にはならないとの見方が大半だ。

 しかし一方、SARS禍は昨年十一月の感染発覚以来、経済に大打撃を与えている。九七年のアジア通貨危機に迫る勢いだ。

 特に、観光業、小売業と並び食品産業、娯楽産業への打撃が深刻だ。キャセイ航空は便数を半分に減らした。アジア地域の航空便は空席だらけだ。「アジアの買い物センター」、香港では閑古鳥が鳴いている。「SARS禍が長引けば大量倒産もありうる」とは香港の識者の声だ。

 モルガン・スタンレーなどの経済予測は、日本を除く東アジア地域の今年の成長率を五・一%から四・五%に下方修正した。中国は七%から六・五%。同じく香港は二・七%から二・一%、台湾は二・八%から二・三%とされた。

 中国の感染者数に見られるように、各国政府は混乱を避けるために問題を小さく見積もりがちだ。最も重要なのは治療法の確立と流行状況の見極めだ。解決策が見つかるまで、検疫を含め不便に耐えねばならない。(24日・インクワイアラー)

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