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9月1日のまにら新聞から

「子どもに創造の光届けた」 宮崎駿監督にマグサイサイ賞

[ 919字|2024.9.1|文化 スポーツ (culture) ]

「アジアのノーベル賞」と称されるラモン・マグサイサイ賞の2024年受賞者にスタジオジブリの宮崎駿監督が選ばれる

2024年のラモン・マグサイサイ賞に選ばれた宮崎駿監督=ラモン・マグサイサイ財団提供

 ラモン・マグサイサイ財団は8月31日、「アジアのノーベル賞」として知られるラモン・マグサイサイ賞の2024年(第66回)の受賞者に、「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」などアニメ映画を手掛けてきた宮崎駿監督(83)=スタジオジブリ=を選出したと発表した。

 同財団は「かつてエンターテインメントに過ぎないと見られていたアニメは今や芸術の一つと認められ、世界中で最も人気のあるものの一つとなり、教育の効果的な媒体となった」と強調。宮崎氏の貢献について「『となりのトトロ』(1988年)、『もののけ姫』(1997)、『千と千尋の神隠し』(2001)、『崖の上のポニョ』(2008)など、世界で最も愛され記憶に残るアニメ作品を製作してきた。こうした作品群は人間性への深い理解を提示し、観客に対し自らの状況を振り返り、人間性を発揮するように促してきた」と説明した。

 さらに「宮崎氏はより広い観客を獲得しながら、子どもという最も満足させるのが困難な観客と向き合い続けた」とし「環境問題、平和、女性の権利と役割といった重要なテーマを単純化することなく、しかも子どもにも理解可能な作品にすることで、アニメを芸術の域に引き上げた」と解説。「生涯をかけてアニメという芸術に携わり、人間性を描き続け、自身の創造性の光をその担い手である子どもたちに届け続けた」 とたたえた。

 宮崎氏以外には、ベトナム戦争中に医者となって以来、枯葉剤の影響を研究し、4世代にわたる被害者の治療に取り組み続けているグイェン・ティ・ゴック・プオン医師、タイで数十年にわたり医療アクセスの限られた農村部で医療サービスと市民権の向上に取り組み、タイの国民皆保険制度の確立に貢献した医師運動団体「地方医師運動」、ブータンで元仏教僧で同国の国史編をはじめ多数の書籍を出し、教育慈善団体を通じて学術・文化・農村振興に取り組み続ける思想家のカルマ・ブントツォ氏のほか、「振興リーダー部門」として、イドネシアのスマトラ熱帯雨林で世界自然遺産指定後も続く環境破壊に対し法廷闘争などを通じて保護活動に取り組む団体「HAkA」のファルウィザ・ファルハン代表(38)が選出された。(竹下友章)

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