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12月3日のまにら新聞から

「キャン・ユー・パンチ・ミー?」 「日ごろ味わえない楽しい経験」 殴られ屋Kenjiさんパフォーマンス

[ 1806字|2023.12.3|文化 スポーツ (culture) ]

「Ninja Boxer KENJI」として活動する「殴られ屋Kenji」さんがマニラ市のバーでパフォーマンスを行った

カウボーイグリルでパフォーマンスを行う「Ninja Boxer KENJI」(殴られ屋Kenji)さん(右)=11月30日深夜、首都圏マニラ市エルミタ地区で岡田薫撮影

 路上など行く先々でチャレンジャーのパンチを巧みにかわす「Ninja Boxer KENJI」として活動し、SNSなどで情報発信を続ける「殴られ屋Kenji」さんが11月30日、首都圏マニラ市のバーでパフォーマンスを行った。

 同市エルミタ地区のカウボーイグリルにケンジさんが出演した午後10時半ごろ、一階のテーブルは満席に近く、若者を中心に賑わっていた。ケンジさんの出番になると、ステージ上の巨大スクリーンに「ニンジャボクサー」の紹介動画が流され、最後に「キャン・ユー・パンチ・ミー?」とのシンプルな挑発フレーズが。それは、酒が入ったマッチョ男性達の「エンターテイメント心」を刺激したようだった。

 ケンジさんの10年来の日本人の友人が、タガログ語を織り交ぜたMCで、簡単な人物・ルール紹介を行い、黒が基調となった「ニンジャ風」衣装を身にまとったケンジさんが登場。その場でハイキックを披露し、チャレンジャーを募った。この日は30分で5人の挑戦を受けていた。

 最初のチャレンジャーに名乗りを上げたのは、この店で12年間ウェイターをしているジュンレ・ジョネスさん(36)。試合後に「彼はとても速く、顔にヒットさせる方法が分からない」。ボクシングは「よく知っているが、生まれてこのかた、練習したことはない」と笑った。

 続いて体格は良いが、グローブを付けた拳を振り回すことに、ややちゅうちょ気味のほろ酔いボン・タビンさん(34)が挑戦。制限時間の30秒があっという間に過ぎた。「わたしは日ごろ下肢を使っていて、パンチは好きじゃない」と弁解。「でも良い経験をありがとう」とほほ笑んだ。

 また、唯一の女性チャレンジャーの匿名医師を相手に、ケンジさんは時折足を止め、パンチを受けて見せた。最後はダウンを演じ、医師は両手を上げて、聴衆の拍手を浴びていた。試合後、医師は「バーでは日ごろ味わえない、楽しい経験をさせてもらった」と感謝を口にし、同じテーブルの男性は「まだ殴り足りないようで、わたしが彼女から殴られている」と場を湧かせた。

▽髪型を変えて

 「最近は誰も反応しなくなって」と特徴のあるメガネ型の髪型から、通常の短髪に変えたケンジさん。今年1〜3月はマラテ地区に、以降はモンテンルパ市アラバンに暮らす。この一年を通した比滞在期間は約7カ月で、日本への一時帰国以外に、台湾やタイなど、アジア各地に活動範囲を広げている。いずれも「日系企業から招待された」のだそうで、近々ベトナムへ。

 現在スポンサーは6社だが、「数カ月先にはもう3社加わる」予定とか。今年7月には傑出した若者に与えられる青年版国民栄誉賞「JCI JAPAN TOYP 2023」のファイナリストに。それもあって「応援してくれるスポンサーが増えた」。路上などのパフォーマンスで募ったチップは、最寄りのバランガイ(最小行政区)に寄付するが、企業立ち上げも視野に入れつつ、「アヤラモールやSMモールでも活動したい」と意気込む。ナルトを連想させる「ニンジャ風」の出で立ちから、コスプレイベントへの参加も決まっている。

 カウボーイグリル出演は、オーナーとの直接交渉で実現した。一方で、パフォーマンスの出来映えは「60点ぐらい」とやや厳しい。「やはりタガログ語ができないとスムーズに盛り上げられない」と課題を挙げ、「パフォーマンス中はワーっとなるのだが、それ以外のところも盛り上げたい」と希望を語った。当初、「言語の壁は問題ではないと思ったが、やはりタガログ語を覚えなければ」と思い直し、比人と「より関わって言語を習得したい」と克服を目指す。

▽「来年も比で」

 アジア各国を回ってみて、「お世辞ではなくフィリピンが一番」。その理由は「英語でコミュニケーションができて、みんなパリピー(集まって陽気に騒ぐことが好き)でフレンドリー、笑顔もダントツでいい」と話す。来年3月に29歳の誕生日を迎えるケンジさん。今年来たばかりの時は「来年は米国を目指す」と語っていたが、「来年もフィリピンで活動できたら」と、すっかり比が気に入った様子。年末年始は比で、「クリスマスを味わいたい」と楽し気に笑った。

 この日はケンジさんのパフォーマンス後、長年活動を続ける比のポップバンド「Jブラザーズ」が演奏し、場をさらに盛り上げていた。(岡田薫)

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