「初めてイメージ通りに」 マニラエクスプレス単独ライブ
マカティ市のショッピングモールで日本人バンド「マニラエクスプレス」がライブ
首都圏マカティ市のショッピングモール「ウォルターマート」の1階で25日、マニラ在住の日本人バンド「マニラエクスプレス」(Mex)が単独ライブを行った。Mexは姉妹アイドルグループのTrilight(トライライト)とも初共演。初ステージとなったトライライトに、開始前からファンの男性らが集まる光景も見られた。
チノロセス通り沿いの出口と入り口の間に設置されたステージの正面に用意されていた椅子数十席はすぐに埋まり、立ち見客の一部と合わせ、観客は約50人。また入れ替わりで立ち止まって見入る客は2階や3階の「アリーナ席」も含めて多く、ライブ全体で500人近くに及んでいた。
この日ウォルターマートはMexのライブのため3時間を用意しており、曲目はボルテスV(アニメ曲)や大声ダイヤモンド(AKB48)、真夏の果実(サザンオールスターズ)など16曲に及び、アンコールを入れ全18曲が演奏された。長時間のライブのため、演奏は1部と3部で分け、2部には音楽教室所属の生徒による歌の披露が行われた。
Mexのメンバーはいずれも仕事を抱え、その都度楽器編成や出演メンバーの入れ替わりが起こる。今回はメインボーカル2人(うち1人はバイオリン兼)とアコースティックギター兼コーラス、ギターの計4人に、ベースとドラムは初参加者が加わった。練習が始まったのは6月に入ってからで、スタジオ練習は3回のみで迎えた本番だった。
ウォルターマートでのライブ実現に尽力したエベレスト・カスタニェーダさんは、マカティ・セントラル・スクエア(MCS)内で音楽教室「アクセント」を経営するかたわら、Mexのプロモーターも務める。カスタニェーダさんは、まにら新聞に「7月23日はフィリピンと日本の国交正常化の記念日で、今日のイベントはそれを祝福するためのものでもある」と説明した。また、日本の演歌と比のクンディマンといった「伝統音楽のメロディーや歌詞、その心には類似性を感じる」とも指摘した。
▽二人体制でこなす
カスタニェーダさんとは個人的な縁で繋がるMexリーダーの宮地正人さんによると、モールでのライブは昨年11月と今年3月(いずれもMCS)に続いて3回目。メンバーの出張など、ライブで全員が揃うことは少なく、ドラム、ベース、ギターなどは二人体制でこなしているという。今回「初めてイメージ通りのライブとなった。フィリピン人の多くのお客さんにも喜んでもらえたと思う」と手応えを口にした。
宮地さんはまた、「ウォルターマートはもちろん、他のモールからも演奏依頼が来ている」との反響を明かし、「どんどんやりたい思いがある一方、駐在員とその家族からなるバンドなので、仕事や家庭、学校などがあり、月に1回以上のライブは厳しい現実もある」と難点にも触れた。次回ライブは「7月23日の文化祭。僕のオリジナル2曲も加え、違ったマニラエクスプレスをお見せする」と意気込んだ。
▽ギター奏者の工夫で
メインボーカルの一人、MAHOさんは今年1月からMexでボーカルを務める。ライブ後にMAHOさんは、ピアノ奏者が一時帰国中で、「コード感の薄い箇所も幾つかあったのですが、ギターが音色を工夫し音を補ってくれたので、素敵な演奏になりました」と振り返った。また「大勢のお客さんが足を止めて聴いてくださって、とても嬉しかった。今回のステージで自分の課題も見えて来たので、今後にいかしたい」との思いも伝えた。
幼いころから、アニメをはじめ、日本文化に触れてきたというトライライトのメンバーの一人で、長髪の赤髪が特徴のミカ・バレンシアさんは「久しぶりにみんなと踊って歌えて嬉しかった。何よりも音楽が好きだから、みんなとこうやってライブをできるのが本当に嬉しい」と流暢な日本語で応じた。
ミカさんは比人の両親の下で、日本に行ったこともないという。日本語を「まともに勉強したことはなく、日本語の曲ばかり聞いていて、こんな感じになりました」と笑った。AKB48などその時代時代のアイドルが元々好きだった。特に好きなバンドとしてはamazarashiを挙げた。「日本語特有の表現は多く、そういう歌詞が好き」だそうで、「この先も共演できる機会があれば必ず」と期待を口にした。(岡田薫)