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3月19日のまにら新聞から

次世代の育成に貢献 比体操設備を支援 草の根文化無償

[ 1322字|2023.3.19|文化 スポーツ (culture) ]

首都圏マニラ市にあるリサール記念スポーツコンプレックスで17日、在比日本国大使館の草の根文化無償資金協力(草の根文化無償)として供与された体操器具一式の引き渡し式が行われた

草の根文化無償資金協力として供与された体操器具引き渡し式に出席した右から越川大使、ユーロ選手、比体操協会のカリオン会長、釘宮コーチ=17日、首都圏マニラ市リサール記念スポーツコンプレックスで沼田康平撮影

 首都圏マニラ市マラテ地区のリサール記念スポーツコンプレックスの体育館で17日、在フィリピン日本国大使館が支援する草の根文化無償資金協力(草の根文化無償)として供与された体操器具一式の引き渡し式が行われた。

 同式典には越川和彦大使や比男子体操のカルロス・ユーロ選手、そして釘宮宗大コーチをはじめ、比体操協会のシンシア・カリオン会長、比スポーツ委員会のウォルター・トーレス委員、比オリンピック委員会のアブラハム・トレンティーノ委員長代理も参列した。

 2022年3月に調印された同プロジェクトは比の体操訓練設備・環境の改善を目的として13万3935ドル(約700万ペソ)相当の高品質の日本製体操器具が、比体操協会管轄の同体育館へ供与された。

 カリオン会長は日本政府や関係者への感謝を表明し、「支援のおかげで、体操設備を整えることができた。われわれは今、ユーロ選手のような才能ある体操選手を発掘し、育てる環境がある」と述べた。「体操協会設立当初、支援の手を差し伸べる人はいなかった」と明かした一方、「現在は何百人もの選手が世界の舞台を夢見るスポーツとなり、これからも支援を続けたい」とも話した。

 また越川大使は「日本から供与された体操器具の中には東京五輪2020で使用されたマットレスも含まれ、世界のステージを少しでも感じてほしい。体操設備を通してより多くの子どもたちがスポーツの楽しさを体験できたら」と語った。

 式典では同プロジェクトで提供されたあん馬やつり輪、マットレスなどの多くの体操器具で体育館は埋め尽くされ、途中、比エアロビック体操代表チームの選手らがそれぞれの体操競技を華麗に披露した。先月カタールで開催されたFIGの体操種目別ワールドカップドーハ大会の男子ゆかで金メダルを獲得したユーロ選手も、ゆかの体操演技を披露して会場を盛り上げた。

 

 ▽次世代の成長を

 釘宮コーチはまにら新聞に「体操競技がお金のかかるスポーツで、裕福な子どもしかできない環境を変えたくて、このプロジェクトを3年かけて実現させた。遠方に住む、小さな子どもでも参加できるこの施設は安価で、いろんな子どもにチャンスが与えられる」と意義を強調した。

 さらに記者会見で、ユーロ選手は「釘宮コーチや日本関係者の協力が無くては実現できなかった」と感謝を口にした。同選手と釘宮コーチは「今後は首都圏だけでなく、地方においても体操設備を整えていきたい」と語った。

 同プロジェクトの意義を問われ、越川大使は「支援や寄付が次世代の背中を押し、メダル獲得に貢献する。メダルが全てではないが、彼らを前進させるモチベーションとなる。日本としてこのプロジェクトに関われたことに感謝している」と答えた。カリオン会長も、今後の日比連携について「日本体操協会との協議で比日間での選手の相互出張トレーニングプログラムに関して話し合った」と明かした。

 東京五輪出場者で、世界大会優勝者でもあるユーロ選手は昨年の第31回東南アジア競技大会で3つ金メダルを獲得しており、今年5月にカンボジアで開催される第32回東南アジア競技大会への出場も予定している。(沼田康平)

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