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3月2日のまにら新聞から

「全員が集まれただけで成功」 アジア日本人男声合唱祭

[ 1209字|2023.3.2|文化 スポーツ (culture) ]

第16回アジア日本人男声合唱祭が、3年ぶりに開催。アジア6カ国から参加

5カ国の男声合唱団による合同合唱=首都圏マカティ市のユニオンチャーチ・オブ・マニラで25日、深田莉映撮影

 首都圏マカティ市のユニオンチャーチ・オブ・マニラで25日、第16回アジア日本人男声合唱祭が、コロナ禍で2回の中止を経て、3年ぶりに開催された。香港から「香港日本人合唱団 男声合唱団」、インドネシアから「ジャカルタ・メールクワイヤー」、タイから「バンコクグリークラブ」、マレーシアから「KL(クアラルンプール)グリークラブ」、フィリピンから「マニラグリークラブ」が参加。「上海グリークラブ」はコロナの状況に配慮し、録画での参加となった。開催国のフィリピンからは、女声合唱団「ラ・メール」も歓迎演奏として歌声を披露した。また、在フィリピン日本国大使館から松田賢一次席公使夫妻、マニラ日本人学校から梶山康正校長夫妻、マニラ日本人会から二村邦彦事務局長が来賓として鑑賞した。

 各合唱団は蝶ネクタイや民族衣装を連想させるものなど、それぞれ揃(そろ)いの衣装に身を包み、時にコミカルなエンターテインメントも交じえながら、個性あふれる演出で場を盛り上げた。観客に向けてだけでなく、合唱団同士や指揮者と笑顔でアイコンタクトを取りながら、温かな雰囲気で力強いアカペラ曲を教会に響き渡らせた。

 参加者全員で披露した開幕曲「アジア日本人男声合唱祭の歌」と閉幕曲「アジアの星たち」は、上海グリークラブ指揮者の成田正人さんが作曲。今回が世界初演となった。

 コロナにより中止を余儀なくされた2年間に、駐在員の帰任などでメンバーの入れ替わりや減少も各団で問題となっていた。しかし今回はOBも日本各地から参加し、各団での合わせ練習の機会も少ない中、完成に向け練習を続けてきたという。

 マニラグリークラブのプロジェクトマネジャーを務める松本勝之さんによると、2020年ジャカルタでの開催後、マニラグリークラブは団員が減り、不安が残る中で、今後に活動を繋げるためホスト国を務める決意をしたところでコロナに直面。東京での1度の合宿以外は録画などを駆使し各団で指導、練習を重ねた。本番前日の合わせ練習では「本番で何が起こってもどんなミスをしても、もう今回の合唱祭は成功だ」と、各団全員が顔を合わせて再び集まれた喜びを分かち合ったという。

 同クラブ団長の岡本浩志さんは「2年間の延期を経て、こうして開催できたことが何よりうれしい。肩の荷が下りた」とし、「日本人の他にも多くの比人に聞きに来てもらった。この成功をきっかけに、さらに楽しい活動を続けていきたい」と今後への期待を語った。

 ケソン市在住で、ユニオンチャーチの日曜ミサに毎週参加しているというアンナ・バニャスさんは、「3年ぶりにやっと歌声や愛を同じ空間で皆にシェアできてうれしいという合唱団の気持ちがとてもよく伝わってくる。1人1人が楽しそうで素敵」と感想を述べた。また「面白いのは団員のほとんどが日本人だが、各国で出会ってここに集まったということ」と笑顔で話した。(深田莉映)

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