ペテシオは銀 パーラムもメダル 比、五輪史上最多の4個に
東京五輪でボクシング女子のペテシオ選手が日本人選手に破れ銀メダル
東京五輪は3日、フィリピン代表3人が出場。国技館で行われたボクシングでは、女子フェザー級(54〜57キロ)決勝でネスティ・ペテシオ(29)=南ダバオ州出身=が入江聖奈(日体大)に0─5の判定で敗れ、銀メダルにとどまった。比五輪史上で4個目の銀で、ボクシングでは3個目。男子フライ級(48〜52キロ)準々決勝ではカルロ・パーラム(23)=ブキドノン州出身=がシャホビディン・ゾイロフ(ウズベキスタン)に4─0の判定で勝ち、3位決定戦がないため銅メダル以上を確定した。
今大会で比は重量挙げ女子55キロ級でハイディリン・ディアスが優勝、ボクシング男子ミドル級のエウミル・マーシャルが銅以上を決めており、ペテシオとパーラムの活躍で比はメダル4個を獲得。銅3個だった1932年ロサンゼルス五輪を上回り、1924年パリ大会で五輪に初参加してから97年間で最多のメダル数となった。
決勝で開催国日本の入江と対戦したペテシオは、最初は相手の距離感を惑わせようと、構えを左右にスイッチしたが、入江のジャブを顔面に浴びた。近距離で強打を振る作戦に変え、2ラウンド(R)を終え、ほぼ互角のポイントに。3Rも打ち合いになったが、効果的なパンチの数で入江に及ばなかった。ジャッジの判定は4人が28─29、1人が27─30だった。日本勢としてボクシング女子に初出場した入江が金メダルに輝いた。
入江とペテシオの対戦は今回が4回目。2019年4月のアジア選手権(タイ)でアマチュアデビューした入江が勝利。6カ月後の世界選手権(ロシア)でペテシオが雪辱を果たして優勝。昨年3月の五輪アジア予選は入江が勝っていた。通算3勝1敗とした入江は試合後、「決勝の舞台で尊敬しているペテシオ選手とやれたことがうれしい」と語った。
一方、男子フライ級のパーラムは準々決勝で、前回のリオデジャネイロ五輪と2019年世界選手権を制したゾイロフに対して左フックを武器に攻め、1R終了間際にはゾイロフがよろめく場面もあった。2R1分16秒で、バッティングによるゾイロフの左目上の傷が深かかったため、レフェリーが試合を終了。判定の結果、ジャッジの4人が20─18でパーラムの勝ち、1人が19─19と採点した。5日の準決勝は田中亮明(岐阜・中京学院大中京高教員)との比日対決になった。
今大会のボクシング比代表は男女4人合わせて通算10勝2敗となった。
比は前大会までの五輪では銀3個、銅7個の計10個のメダルを獲得している。このうち銀2個、銅3個の計5個はボクシング男子で、ボクシング女子のメダル獲得は初めて。また比がボクシングで1大会3個のメダルを獲得するのも初めて。
これまでの比の五輪銀メダリストは、1964年東京大会のアントニー・ビラヌエバ (ボクシング男子フェザー級)、96年アトランタ大会のマンスエト・ベラスコ(同ライトフライ級)、前回リオデジャネイロ大会のディアス(重量挙げ女子53キロ級)の3人だった。
▽オビエナは11位
3日夜の陸上男子棒高跳び決勝(国立競技場)ではエルネスト・オビエナ(25)=マニラ市出身=が出場。5メートル55は1回で、5メートル70は3回目にクリア。5メートル80は3回とも跳べず、14人中11位タイ。自己ベストはフィリピン記録の5メートル87だったが、五輪では17センチ下回る記録に終わった。
6メートル18の世界記録を持つアルマント・デュプランティス(スウェーデン)が6メートル02で優勝。2位は5メートル97のクリストファー・ニルセン(米国)。前回大会優勝のチアゴ・ブラス(ブラジル)が5メートル87で3位。(谷啓之)