ハロハロ
ミステリー専門TVがフィリップ・マーロウ物を放送するというので6月から契約した。チャンドラーの創造した私立探偵マーロウは何度も映画化され、H・ボガートはじめエリオット・グールド、ロバート・ミッチャムといろいろ見てきた。それぞれに味があったが、今回の英国テレビ向けマーロウは案外と俗物風なのがよかった。タフガイ、マーロウは美化されすぎている。
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このチャンネルの宣伝をするつもりはないが、ミステリー好きにはなかなか見応えのある番組がラインナップ。北欧スウェーデン警察の中年警部が主人公のクルト・ヴァランダー、英テレビのおやじ刑事、フロスト警部物、フランスの女性警部が粋なジュリー・レスコー。極め付きは9月から放映されたアラン・ドロン主演のシリーズ「刑事フランク・リーヴァ」。70歳のドロンは依然としてカッコよく、欧州連合(EU)統合後の現実も活写されていて興味深かった。
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文句なしの娯楽作品がオーストリアを舞台に警察犬の活躍を描くREX。レックスはシェパードだが、ご主人モザー警部の命令をよく理解し、捜査のヤマ場で決定的役割を果たす。よくも仕込んだものと感心するばかり。個人的にペットは猫派だが、こんな利口で従順かつ、いたずら好きの犬が存在するなら、飼ってみようかという気にさせられた。チャンネルを回したくなるTV番組が少ない中、本年の収穫の一つだった。(紀)