「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

本日休刊日

8月27日のまにら新聞から

観賞魚販売店「コイ・ビレッジ」

[ 1065字|2006.8.27|文化 スポーツ (culture)|名所探訪 ]

富の象徴と癒やしでブーム

 フィリピンの富裕層の間で邸宅でコイを飼育するのが静かなブームになっている。ゆったりと泳ぐ自然美の姿に「癒やし」を与えられるからという。同時にコイを飼う池を有する大邸宅に住んでいるという「金持ち」のステータスシンボルにもなっている。だが、一般市民の間でも、観賞用のコイはフィリピノ語で「カルパ」と呼ばず、日本語で「コイ」と呼ぶのが浸透して来ている。

 こんな「コイブーム」に乗って、マニラではコイを販売するペットショップが増加中。首都圏の大動脈、エドサ通りとサウススーパーハイウエーが交差する、マカティ市の高級住宅地「マガリヤネスビレッジ」のゲート付近にあるコイの専門店「コイ・ビレッジ」もその一つ。上得意はもちろん、中国系フィリピン人を中心とした富裕層や外国人だ。

 日本家屋をイメージした店内には三十二の水槽があり、三千匹以上のコイを放っている。一番安いコイは二百ペソだが、最も高価なものは二十五万ペソとけたが四つも違う。品ぞろえもしっかりしていて、日本産の「御三家」と呼ばれる紅白、大正三色、昭和三色や銀輪五色、白ベッコウなど、客のニーズに対応できる。

 子ども連れの客のために、二十ペソで販売している餌を与えることができるが、四万ペソ以上のコイの水槽には「立ち入り禁止」のついたてがあって、買うつもりがある人しか入れない。

 この店のオーナー、ハイメ・リムさん(55)の本業は建設会社の社長。もともとコイや小動物の交配が趣味だった。昨今のブームを受けてブラカン州の私有池で飼育していた大量のコイを売り物にすることにした。「お気に入りのコイは千匹余りいる。でもこれは商売の対象とせず。自宅庭の池で飼っている」と話す。

 リムさんによると、最近の造園設計では庭にコイを飼う池を加えるのが定番になっているのだそうだ。住宅インテリアの専門雑誌では、「ゼン・ガーデン」と名付けられた日本風の庭やコイが泳ぐ池がある会社社長や重役の邸宅の特集が目立つようになった。

 「マイホーム」の編集者、カルラ・レイさんは「コイはカラフルで縁起がいいと言われるので人気が高い。盆栽も人気で、日本風の庭が流行になってます」と説明した。

 家族四人で来店した女医のピンキー・カサノバさん(35)=マリキナ市在住=は、自宅新築を機にコイを飼おうと下見に来ていた。「コイを見ていると、仕事のストレスが癒やされそう。わたしの周りでは和風庭園がはやっていて、そこにはコイの池が欠かせない。コイは金持ちのシンボルなのよ」と教えてくれた。(栗田珠希)

文化 スポーツ (culture)