第1回 ・ 冒険小説『樹海旅団』(光文社文庫に所収)の取材で、...
冒険小説『樹海旅団』(光文社文庫に所収)の取材で、ボルネオ島と目と鼻の先に位置するフィリピン領、スルー諸島の国境近くの小さな島を訪れた。
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冒険小説『樹海旅団』(光文社文庫に所収)の取材で、ボルネオ島と目と鼻の先に位置するフィリピン領、スルー諸島の国境近くの小さな島を訪れた。
フィリピンのパナイ島の山岳民族の取材で雇った三十年輩のガイドのテオドールには恐れ入った。ハイヤーで30キロほど離れた目的地にまっすぐ向かう予定だった。
ボルネオ島に近いフィリピンの南端、国境の島で、のんびりした日々を取材がてら過ごしていた。人口2千人ほどの小さな島で、観光も娯楽らしきものも、見事なまでに何もない。イスラム教の島ゆえに居酒屋はおろか酒屋の一軒もない。集落が海岸線に張りつくように広がっているが、歩いても十分ほどで突っ切ってしまう。
海外での取材旅行中に、回数を数えるのに片手では足りないほど、何度も強盗の被害に遭っている。先輩小説家の北方謙三さんによると、不名誉なことにも物書き業界の新記録らしい。