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1月15日のまにら新聞から

比映画123年を詳述 知識の宝庫

[ 766字|2021.1.15|社会|新聞論調 ]

 2009年夏、フィリピンへの異動辞令を受けたとき、イタリア人の友人が私に変なことを言った。「おめでとう。うらやましいよ。アジアで最高の映画を作る国だよ」。大学教授である、その友人はカンヌ映画祭の過去20年の作品を1本も見逃したことのない独立系映画の生き字引だ。

 彼は熱くなって私に聞いてきた。「ラブ・ディアスを知っているか。ブリリャンテ・メンドーサは」。知らなった私は恥ずかしくなって、ネットで調べた。彼は正しかった。世界中から集まってくる優秀な作品の中で、比映画は多くの国際的な賞を次々と受賞していた。もっと前に、この「フィリピン映画1897―2020年」のような本がなかったことを残念に思う。この新刊は123年の期間を扱いながら、その歴史をわかりやすく説明してくれる。著者はガスパー・ビバル、デニス・ビリェガスの両氏だ。

 5つの章からなっている。「草創期の明滅1897―1945年」「戦争のトラウマから黄金時代へ46―72年」「独裁と抵抗、現実逃避、破戒の映画72―86年」「新自由民主主義時代の映画86―2020年」「独立系、地域的、代替的、ジェンダー可変的な映画」。多岐にわたる100本ほどの記事で構成されている。

 1897年の比人初の映画製作者ホセ・ネポムセノ氏から、女性監督たち、フェルナンド・ポー・ジュニア、スーサン・ローセスら時代を代表する俳優たち、そして現代映画産業の概説までをていねいに記述。1300以上のポスター、広告、映画シーンを含んでおり、心と目を楽しませてくれる。便利な映画関連の100点以上の付属文書のほか、俳優・監督・製作者・脚本家・組織の紹介、年表などを含んでいる。まさに映画の歴史家と愛好家にとって無視することができない知識の宝庫である。(12日・マニラタイムズ、ホルヘ・マジャロ)

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