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11月20日のまにら新聞から

失われた安全な夜 超法規的殺人の影

[ 767字|2020.11.20|社会|新聞論調 ]

 夜10時、静かで暗い夜道を1人歩くのはとても怖い。車、特にバイクが近づいてくる音を聞くと、さらに恐ろしくなる。心臓の鼓動が速まる。バイクの2人乗りはこの国で超法規的殺人を連想させるようになった。

 悪いイメージが頭の中を駆け巡る。もし自分の前で止まったら。撃ち殺されて「薬物の売人」として、私の死体がテレビに出るのでは。夜中、警官に殺されたキアン・デロス・サントスのことが思い出される。月明かりの夜、仕事で遅くなった帰り道、私も濡れ衣を着せられて殺されるのではないか。

 いつであれ、どこであれ、命の危険がある。真昼の衆人環視のなか、殺されるかも知れない。ビンセント・アディアは多くのスタッフがいる救急処置室で撃たれた。誰もいない夜中ならなおさらのことだ。無実の人や子どもまでもが殺されていることを私たちはテレビで見ている。5歳のダニカ・マエは政府が進める「薬物戦争」の最年少犠牲者となった。

 これら殺人は現政権が広め、常態化させた暴力文化の結果だ。リーダーは模範を示すべきだが、彼らは憲法違反と基本的人権の侵害を国民に勧めている。暴力は暴力を引き起こす。この暴力の悪循環を断ち切るには暴力を止めることだ。我が国が本当に必要としているのは正義と人権に基づく解決策である。

 私は殺人、誘拐、強姦の被害者になる心配なく道を歩くことができるときが戻ってくることを願っている。人々の権利と尊厳をリーダーたちが重要視するとき、それは来ると信じている。単なる政治家ではなく、真の公僕を選ぶように、国民みんなが自分の投票権を行使することを切に願う。

 あなたがもし今の状況に怒り、悲しみ、心配を感じているなら、その気持ちを、自分自身が変革の先駆けとなる力に変えてみてはどうだろう。(17日、インクワイアラー、カリサジョイス・レイノ)

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