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1月24日のまにら新聞から

災害復興省の創設を急げ 場当たりでなく長期的防災計画を

[ 720字|2020.1.24|社会 (society)|新聞論調 ]

 フィリピンは世界で最も自然災害の多い国で、経済的損失も増えるばかりだ。ペルニア国家経済開発長官によれば、今回のタール火山噴火に関連する損失額は、バタンガス州のみで76億3千万ペソと見積もられるという。農業や水産業、またエコゾーン進出企業の活動にも支障が出ている。

 これまでの災害と同様に、今回の対策も、避難を呼びかけ、救援物資を送るという一時的なものがほとんどだ。状況が落ち着けば、迅速な承認と効率的で汚職のない実施を約束する復興計画が議論されるだろう。サルセダ下院議員は先週、1兆ペソほどが必要となる復興計画の策定を提案した。

 2013年の大型台風ヨランダの復興計画を推進したラクソン上院議員によると、災害直後は物資や支援が集まりやすいが、そのうちに減少するという。実際、ヨランダの被災地での復興計画は未だ完遂せず、国軍とイスラム過激派との戦闘で破壊されたミンダナオ島マラウィ市もまだ再建されていない。

 専門家によると、現在の国家災害対策本部は、災害問題や復興だけに専念できない閣僚たちが議長や主要メンバーを務めているため、十分に機能していないという。比の災害リスクの高さを考えると、災害時の危機管理や防災・減災に特化した省庁の創設がすぐにでも求められるだろう。

 災害復興省を創設する法案はこれまで国会で見送られてきたが、早急に通過させるべきだ。ドゥテルテ大統領は昨年の施政方針演説で「自然災害は貧困をつくり出す」として、国会に同省の創設を急ぐよう呼びかけた。しかし国会は過去3年も災害対策予算を大幅に削ってきた。この流れを見直し、長期的な減災計画を策定・実施する同省の創設を優先すべき時だ。(20日・インクワイアラー)

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