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1月27日のまにら新聞から

科学を欠く政治 処罰年齢引き下げ

[ 651字|2019.1.27|社会|新聞論調 ]

 米政治家・社会学者のダニエル・モイニハン氏は「誰でも自分の意見を持っていい。しかし、自分だけの事実を持つ権利はない」と言っている。しかし、フィリピンの政治家は、自分の好むイデオロギーや政治に沿わない事実や科学的な証拠を無視する傾向がある。

 犯罪処罰年齢を15歳から9歳に引き下げることが、科学的な実証やデータに基づいているとはとても思えない。比小児科医協会は青年期に前頭葉は劇的に発達するが「子どもは自分の行動が自身や社会に及ぼす結果を十分予期できない」と指摘している。アロヨ下院議長はあからさまに認めているが、法案はドゥテルテ大統領を「喜ばす」ために審議されている。

 デング熱ワクチンをめぐる論議にしても、結果として接種が中断され、多くの子どもを危険にさらした。論争はヒステリカルなほどにワクチン接種と一部の子どもの死を結び付けようとしているが、その方法論をめぐっては多くの専門家が疑問を呈している。世界保健機関(WHO)は、この論争で、はしかなど他のワクチン接種率が急落していると懸念している。

 比の子どもたちは、麻薬戦争による超法規的殺人で孤児になったり、ワクチン接種率の低下で病気になったりと苦難の中にある。その子どもが犯罪に手を染めれば「ケアセンター」に送るというが、そういった施設は不足しており、あってもひどい運営状況だ。

 問題はすべて比の政治家が、間違っていたり、近視眼的だったりする自分の意見ばかりを好み、科学を有用視しないから起きるのだ。(26日、インクワイアラー)

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