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9月11日のまにら新聞から

歴史の書き換えを許すな マルコス大統領の日制定問題

[ 754字|2020.9.11|社会|新聞論調 ]

 「我々は独裁者のことを祝ったりしない。打倒して歴史のごみ箱に捨てるのだ。祝日は、勇敢な英雄と国に殉じた者のためで、国民多数を抑圧し殺害した暴君のためではない」。政党リスト制アクバヤン党名誉党首で人権委員会を率いたエッタ・ロサレス元委員長の言葉だ。彼女は戒厳令下に政治犯として拘留され釈放後、人権委員会創設に尽力した。人権委員会は今日まで全国民、とりわけ社会の底辺に追いやられた人々の人権保護に努めている。

 9月11日を北イロコス州の「フェルディナンド・マルコス大統領の日」とする法案が下院を通過した。採決は賛成197、反対9、棄権1。提出者は北イロコス州2区選出のアンヘロ・マルコス・バルバ下院議員、元大統領のおいだ。元大統領の誕生日を同州の特別休日にすることをドゥテルテ大統領が2017年に布告しただけでは足らないと見える。

 現政権のマルコス家への恩返しはここまで来た。立法府と司法府の大統領の子分にはこれに加担することに良心の呵責もないようだ。恩返しの第1弾は元大統領の遺体の英雄墓地埋葬を許可したことだった。イメルダ夫人はもっと盛大にやりたかっただろうが、抗議・怒号のなかで葬儀は行われた。大統領は、副大統領選でレニー・ロブレド候補に負けた元大統領の息子ボンボン候補への支持も表明した。

 北イロコス州だけとはいえ「マルコス大統領の日」の制定は、マルコス家を追い出すために全国で立ち上がった何百万人もの人々の顔に平手打ちを食らわすことになる。独裁政治の暗黒下で何千何万の人々が逮捕され、勾留され、拷問され、「消息不明」となった。歴史の新たな書き換えとごまかしを防げるかどうかは上院にかかっている。そこに薄ら笑いを浮かべる元大統領の娘アイミー上院議員がいるとしても。(6日・インクワイアラー)

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