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3月19日のまにら新聞から

長引く規制 経済はどん底 リトル東京でも廃業

[ 1684字|2021.3.19|社会 ]
廃業したカフェバー「蛮可無」(左)=3月16日午後6時ごろ首都圏マカティ市のリトル東京で谷啓之撮影

 新型コロナウイルス流行に対し、ルソン島全域で厳しい防疫規制が始まって1年がたった。世界一とも言われる長期の規制にもかかわらず、フィリピンの1日の新規感染者は7カ月ぶりに5千人前後に増加、フィリピン型変異種も報告されるなど、収束の見通しはまったく立たない。ドゥテルテ政権の対応も含めて、コロナとの戦いの1年間を振り返り、課題を探った。

 首都圏では15日から夜間外出禁止時間が午後10時〜午前5時に統一され、マカティ市では外出禁止が従来より4時間長くなった。多数の日系飲食店が集まり、以前はにぎわいを見せていた深夜のリトル東京は人通りが途絶えた。

 ▽40年のカフェバー

 目抜き通りに面していたカフェバー「蛮可無」(バンチャム)は昨年3月中旬、首都圏の防疫強化と夜間外出禁止が始まると営業をやめ、そのまま廃業した。

 経営者の日本人男性(72)は名古屋出身で日本企業の元比駐在員。比人女性との結婚がきっかけで始めた店は、米英のポップ音楽が流れる中で歓談する比人グループや、深夜に食事を取る日本人らでにぎわっていた。比料理が中心だが、薄焼き卵を敷いたナポリタンスパゲティなど名古屋飯のメニューもあった。

 以前は「ライバルはコンビニだ」と、手軽に飲食をすますことができるコンビニエンスストアに客を奪われることを懸念していたが、店をたたませたのはコロナ禍に伴う防疫規制だった。

 前身の名古屋式喫茶店時代を含め、開店40年を迎えたばかり。「子(ねずみ)」年生まれの男性にとって、年男だった昨年は厄年だったかもしれない。

 2軒隣で日本の銭湯に近い形で営業していたスパも昨年3月中旬から営業できず、看板を下ろした。

 蛮可無にライバル視されていた向かいのコンビニは、比国内に約2960店ある「セブンイレブン」の一つ。支払いカウンター前には、社会的距離確保のために順番待ちの位置が指定されているが、列ができることはほとんどない。

 比セブン社(PSC)を傘下に持つ台湾の統一超商(PCSC)は先月、昨年の決算が減益で「台湾店は好調だったが、コロナでフィリピン事業の業績が悪化した」と発表した。PSCの昨年の事業報告書では、第2〜3四半期の売上高が前年同期比で約25%減り、6億9千万ペソの赤字を出している。

 ▽戦後最悪の不況

 比統計庁(PSA)も2020年の比経済や労働関連のデータで、歴史的な数字を相次いで発表している。GDP(国内総生産)成長率はマイナス9・5%で、統計が始まった1946年以降で最悪を記録。四半期別では第2四半期のマイナス16・9%が最悪だったが、第4四半期もマイナス8・3%で、21年第1四半期も縮小するとの予測が報じられている。

 労働力・雇用推計の昨年の平均失業率は10・3%で、失業者が現在の定義に変わってからの15年間で最悪。前年から失業者は約450万人増え、就業者は300万人減った。

 製造業生産指数は今年に入っても縮小が続く。1月は前年同月比で生産量ベースで16・7%減、生産額ベースで21・1%減と、ともに前月12月より落ち込みが大きかった。工場の平均稼働率も1月は46・1%と、前月の49・1%から低下した。

 こうした経済状況に対して、英字紙インクワイアラーは9日付で「比はコロナウイルスのまん延を封じ込めるため、東南アジアで最も長く最も厳しい封鎖を課したが、その結果、戦後最悪の不況に陥った」と報じている。

 ▽「すばらしい対応」

 一方、政府の対応について、ロケ大統領報道官は8日の記者会見で「すばらしかった(エクセレント)」と自画自賛。死者が50万人を超し、世界最多の米国の例を挙げ、「私たちは優れていた。残念ながら、ワクチンがないために感染者や死者が多数出てしまったが、死者は1万2500人程度に抑えた。米国と比較してほしい」と述べた。

 人口比さえ無視した比較だった。この基準なら、米国以外のすべての国が「すばらしい対応だった」ことになってしまうのではないか。(谷啓之)

社会

中国艇、記者船を追跡 パラワン沖160キロの比EEZ

[ 518字|2021.4.11 ] 無料記事

【南シナ海の比EEZ内で中国艇2隻が、比の記者が乗った船を追跡】 南シナ海にあるフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内で8日、中国の艦船が比大手メディアABS─CBNの取材班を乗せた船の進路を妨害、追跡するという事態が起きた。英字紙スター電子版などが報じた。  ABS─CBNのサンブラノ記者によると、取材班がパラワン島から南沙諸島(スプラトリー諸島)のアユギン礁(英名セカンド・トーマス礁)に向かう途中、中国海警局の艦船が一直線に接近、無線で「何をしている」と聞いてきた。比人船長はパラワン島に引き返すことを決断し、船がパラワン島方面に向かったにもかかわらず、中国海警局の船はその後1時間におよび追跡。海警局船が追跡を止めた後は、別の中国小型艇2隻が現れて再び取材船を追跡した。「小型艇は紅稗型ミサイル艇で、各艇が2発のミサイルを搭載していた」と同記者は報告した。  この事態が起きたのはパラワン島から90カイリ(約165キロ)の排他的経済水域内。比国軍のティンドッグ報道官は9日、サンブラノ記者らの協力を受けて調査を始めると発表した。  2019年9月にもアユギン礁へ向かう輸送船を中国が妨害していることをパネロ大統領報道官(当時)が指摘、中国に対する不快感を示したことがある。(竹下友章)