首都圏の防疫区分緩和訴え 経済「崩壊寸前」と貿易産業相
コロナ以前のレベルまで経済活動を戻し、ビジネスの全面的再開が必要な状況と訴え
ロペス貿易産業相は9日、長らく一般防疫地域(GCQ)に据え置かれている首都圏の防疫区分について「区分を緩和すべき時が来ている」との認識を記者団に示した。
英字紙マラヤによると、同相は1日の新規感染者が2千人未満となり、ワクチン接種開始のめども立ったことを指摘しつつ「フィリピンは新型コロナ禍以前のレベルまで経済活動を戻し、ビジネスの全面的再開が必要な状況にある」と訴えた。
昨年の経済成長率が約9カ月間のロックダウンによってマイナス9・5%(世銀速報値)まで落ち込み、経済は「崩壊寸前」の危機に陥っているとし「ドゥテルテ大統領も憂慮している」とも述べた。
さらにマスクやフェイスシールドの着用や社会的距離の確保など人々の防疫意識も十分浸透していることも区分緩和が可能な理由に挙げた。
同相はこれまでにも比の国内総生産の約半分を生み出してきた「マニラ首都圏とカラバルソン地域など近隣州」の防疫区分がすべて修正防疫地域(MGCQ)に緩和されれば、2021年の比の経済成長率は「6%まで回復する」と訴えてきた。現在、カラバルソン地域はバタンガス州だけがGCQで、他の州は既にMGCQになっている。
比政府内では国家経済開発庁(NEDA)のチュア長官代行も今月1日、首都圏の防疫区分について「すべての人が協力すれば、3月には規制は緩和されるだろう」との楽観的予測を述べている。
一方、感染状況を監視しているフィリピン大の専門家らによる独立研究チームOCTAリサーチは「人々の生死を分ける重要な決定となる」として、防疫緩和は感染者数など科学的データに基づいて慎重に決定すべきだとしている。(石山永一郎)