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2月8日のまにら新聞から

英字紙記者を名指し批判 テロ防止法絡みで国軍中将

[ 1101字|2021.2.8|社会 (society) ]

国軍のパルラデ中将がインクワイアラー紙の女性記者を名指しで批判

 共産主義勢力との軍事衝突を終わらせる国家タスクフォース(NTF─ELCAC)の広報担当、アントニオ・パルラデ中将がフェイスブックで4日、インクワイアラー紙の女性記者テッチ・トゥパス氏執筆のテロ防止法に絡む記事を「フェイクニュース」と批判した。これに対し、メディア団体は「記事は事実伝えている」として中将に謝罪を求めている。

 問題とされた記事はトゥパス氏が2日電子版に書いた署名記事「『拷問された』先住民アエタが最高裁にテロ防止法撤回を求める」。先住民アエタの2人が2020年8月に国軍第73師団偵察中隊の軍曹を射殺した容疑でルソン島サンバレス州で逮捕された事件を取り上げ、容疑を否認している2人がテロ防止法第4条(a)の「人の命を危険にさらす意図的な行為」で、テロ防止法違反の最初の事例として勾留が続いていると指摘。2人が最高裁への訴えの中で、国軍兵から6日間にわたって殴る蹴るなどの暴行を受け、コメ袋に入れられたまま逆さづりにされる、顔にビニール袋を被せられる、排泄物を食べさせられるなどの拷問を受け、「自分がNPAだ」との供述を強要されたと述べていることなどを紹介した。

 これに対し同中将は「フェイクニュースでありプロパガンダだ」と一蹴する投稿を掲載。読者からの「この記者を訴えることはできないか」とのコメントに「テロリストの嘘を拡散する幇助罪でなら可能だ」と答えていた。

 中将はトゥパス氏の記事が、米国に拠点を置くヒューマン・ライツ・ウォッチとフィリピンのネットメディア「コダオ」から得た情報に依拠したものだとしている。両者ともに国軍は「共産党のプロパガンダ・マシーン」として「赤タグ付け」をしている。

 5日付英字紙インクワイアラーによると、トゥパス氏が加入する司法記者協会(JUCRA)は4日、同氏は「アエタ2人が最高裁に提出した請願書の内容を忠実に伝えている」との声明を発表。「テロリストを擁護しているとの言いがかりを黙視できない」として、謝罪を求めた。

 しかし、同中将は回答を求めるインクワイアラー電子版に対して「記事のような事実はない。海外でも報道され、国軍のみでなく国の名誉が汚された。わい曲された報道をしておいて私に謝罪しろと? 恥を知れトゥパス」などと反論した。

 中将は1月にもフェイスブックで、テロ防止法差し止めの訴えを最高裁に起こしている者に対して「お前らが加わる共産党によって辛酸をなめた国民からの裁きがじきに下るだろう」と書き込み、訴えを起こしたアントニオ・カルピオ元最高裁判事らが、政府に対して中将の言動について説明するよう求めていた。(岡田薫)

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