まにら新聞ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
33度-23度
両替レート
1万円=P4,460
$100=P4,840

1月18日のまにら新聞から

接種めぐり政府の説明迷走 価格や交渉主体が不透明

[ 1204字|2021.1.18|社会 ]

 上院で先週2日間にわたり政府のコロナワクチン接種プログラムに関する公聴会が開かれた。出席した政府のワクチン政策責任者、ガルベス大統領補佐官が質問に十分答えられず、回答が何度も迷走。予想外の展開となり、ラクソン上院議員がさらなる公聴会の実施を求めるなど、ワクチン接種に関する論戦が長期化しそうだ。17日付英字紙スターが報じた。

▽政府間交渉なし?

 ラクソン議員は16日までに「政府は回答を避けている。さらに公聴会を継続するよう求めることも可能だ」と述べている。同議員によると、ドリロン上院議員が「中国製ワクチン確保で比政府は誰と交渉しているのか」と質問した際、ガルベス大統領顧問は「香港にいるヘレン・ヤン・シノバック社社長と直接、話をしている」と答え、比中の政府間交渉ではなく、民間製薬企業と直接交渉していることを明らかにした。これは公聴会に出席したドゥケ保健相も認め、政府間で交渉を進めていると理解していた上院議員の間に困惑が広がった。

 また、世界保健機関(WHO)が主導するワクチンの公平供給に向けた共同購入に関する国際枠組み「COVAX(コバックス)」について、政府側は公聴会で最初、「かなり割引された価格になる」としたが、後に「無料になる」と答えるなど食い違いがみられた。民間企業や自治体が主導するアストラゼネカ製ワクチンの購入に向けた一括契約についても、民間企業は「接種1回5ドル」としているが、ガルベス補佐官は「守秘義務契約のため答えられない」と回答を拒否、上院議員らの不評を買った。

▽購入予算に疑念も

 さらにワクチン入手時期について尋ねたアイミー・マルコス議員の質問に対し、ロケ大統領報道官がシノバック製のワクチンが2月20日までに確保できると表明しているにもかかわらず、ガルベス補佐官は「(契約はまだ結ばれておらず)今から撤回することもできる」と答えたためマルコス議員は「私は本当に混乱している」とコメントしたという。

 比側でワクチンを調達する主体についても、政府側は「地方自治体や民間企業が直接調達する」と答えたが、後に輸入・流通ルートについて確認すると、ワクチンが関税庁を通関した後に保健省がワクチンを一括で取り扱うことになっており、地方自治体や民間企業による流通への介入は認められていないとした。

 ラクソン議員によると、比はコバックスの枠組みで4400万回分のワクチンが無料で確保できる見通しのほか、地方自治体が1400万回分、民間企業が850万回分のワクチンをそれぞれ調達する契約をすでに結んでいる。

 政府は集団免疫を獲得するために国民の7割ほどへのワクチン接種を目指しているとされるが、ラクソン上院議員は「なぜ政府は残りの必要分のワクチンのために莫大な予算を計上しているのか。なぜワクチン価格を表明しないのか」との疑念も述べている。(澤田公伸)

社会

3日連続で3千人超 首都圏「震源」で第3波の恐れ

[ 1069字|2021.3.8 ] 無料記事

【保健省によると、新型コロナ新規感染者は5日から3日連続で3千人超え】 保健省によると、7日の新型コロナウイルスの新規感染者は3276人となり、累積感染者数は59万4412人、死者は51人増の1万2516人となった。新規感染者は5日から3日連続で3千人を超えた。 1月の比の新規感染者数は千人を割り込む日も あり、2月は1千〜2千人の日が多く、首都圏の防疫措置緩和の声も高まっていた。しかし、昨年10月以来の新規感染3千人突破に、楽観論は吹き飛びつつあり、感染拡大が始まった昨年3月〜5月の第1波、感染が急拡大した7〜9月の第2波に続く第3波に襲われる懸念も出ている。  ドゥケ保健相は6日、記者団に「これから2週間が(感染急拡大を)阻止できるかどうかの山場となる」と重大な局面に至っていることを認めた。  感染再拡大の「震源」となっているのは累積感染者数の3分の1以上を占めている首都圏。フィリピン大などの独立研究グループ「OCTAリサーチ」の5日の発表によると、2月26日から3月4日までの1週間で、首都圏の1日の新規感染者数は約900人となっており、2月19〜25日と比べると50%増加、2月12〜18日との比較では119%増加している。  その要因としてOCTAが指摘するのは感染力がより強いとされる変異種だ。保健省によると、比では5日までに英国型変異種感染者31人、南アフリカ型変異種感染者が52人確認されている。南ア変異種は現在も4分の1以上のバランガイ(最小行政区)が封鎖されている首都圏パサイ市で3月2日に最初に確認された。  ドゥケ保健相は感染再拡大と変異種との「直接的な関係は確認されていない」としているが、OCTAのランジット・ライ研究員は「変異種がゲーム・チェンジャー(前提変更要因)になりつつある」と話しており、パサイ市など首都圏の感染拡大は変異種がもたらしている可能性も高い。  変異種は帰国したフィリピン人海外就労者(OFW)の周辺で見つかるケースが多く、帰国者に対する検疫体制に「水漏れ」があったともみられる。  OCTAによると、感染者1人が他の人にうつす平均数を示す首都圏の実効再生産数は3月1日の1・5よりはやや下がったがなお5日時点で1・47と極めて高い水準にある。  比の累積感染者数は世界30位。感染者数、死者数はいずれも東南アジア、北東アジア地域内ではインドネシアに次いで2番目に多い。  ただ、比における人口100万人当たりの新型コロナ累積感染者数は世界129位の5376人、同死者も118位の113人にとどまっている。(石山永一郎)