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10月18日のまにら新聞から

母子の絆、断ち切るな 収監者の出産

[ 641字|2020.10.18|社会 (society)|新聞論調 ]

 略奪行為の容疑で拘束された政治家は歯の痛みで拘置所からの一時帰宅を認められた。一方で、生後3カ月の娘リバーちゃんと一緒に過ごすため、23歳の母レイナメイ・ナシノ容疑者は闘い続けなければならなかった。

 昨年11月、左派系政党連合マカバヤンの事務所に警察が踏み込み、同容疑者ら3人の人権活動家を銃と爆発物の不法所持容疑で逮捕した。3人は証拠が仕込まれた「でっちあげ事件だ」と訴えている。

 ナシノ容疑者は逮捕当時、妊娠していた。7月1日にマニラ市の病院でリバーちゃんを出産。未熟児だった。拘置所での授乳を望んだが、「拘置所は赤ちゃんのための場所ではない」とマニラ地方裁判所に却下された。

 そうした状況の中、リバーちゃんは9月24日に肺炎でマニラ医療センターに搬送された後、10月9日、急性呼吸窮迫症候群で亡くなった。

 母は通夜出席のため3日間の一時帰宅を求めたが、拘置所の女性寮所長が「3日間監視する十分な人員がいない」と反対。マニラ地裁は通夜の3時間、埋葬の3時間に短縮した。

 娘と会える初めての一時外出が通夜になった母は14日、葬儀場に到着した。警察が厳重に警備し、手錠をかけられ、コロナ対策用の防護具を着けていた。娘の亡骸と3時間、涙ながらに過ごしたという。

 早急に妊娠中の収監者と育児が必要な母親のための施設を整備し、規則も改革する必要がある。母と子の間には特別な絆がある。2人のような悲劇が繰り返されないように、あらゆる努力が必要だ。(16日・スター)

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