バヤニハン法は欠陥だらけ 延長よりも抜本的見直しを
新型コロナ対応のために制定された共和国法第11469号、通称「バヤニハン・トゥ・ヒール・アズ・ワン法」は3月25日に発効したが、6月24日に失効する。ソット上院議長は時限立法である同法の9月までの延長を認めるべきだと主張しているが、批判や見直しを求める声もある。そもそも、この長ったらしい法律には何が書いてあるのか。
実は、バヤニハン(相互扶助、共同作業)という言葉も、ヒール・アズ・ワン(皆で一つになって回復する)という言葉も法律の中に一切出てこない。コロナとの闘いを牽引する省庁間タスクフォースについても記載がなく、その役割と権限も不明だ。
第4項には、危機対応における大統領の権限が7項目にわたって説明されている。しかし「大統領に必要で適切な権力を行使する権限が与えられる」と書かれていながら、「必要で適切」がどういう場合か、定義されていない。この表現は米国憲法から取られたものだが、米国では、これが政府の無制限の権力行使を認めかねないと議論になっている。
比経営者協会など8つの財界団体は、同法の運用が恣意的だと批判している。多くの市民が封鎖中に規則違反で逮捕されたが、同じ違反を犯した政府関係者は処罰されないままだからだ。ドリロン上院議員は、罰則を定めた第6項は緊急事態の対応を定めた法の趣旨にそぐわないため廃止すべきだとしている。同法は、欠陥の多い法律だ。表現はあいまいで複雑なため効果は不確かで、拡大して適用されている。構造的にも一貫性と論理性がない。比国の議員は、自分たちの法律の起草能力が二流であることも理解できないようだ。(3日・マニラタイムズ、イェン・マカベンタ)