今こそ自転車文化の定着を マリキナ市の実践に学べ
防疫強化措置が実施されたマニラ首都圏では多くの住民たちが自転車に乗り出した。老若男女が歩道で自転車をこぐ様子は移動のニーズに対して自転車がいかに重要な働きを果たしているかよく分かる。
コロナ禍はフィリピンにおける自転車文化の台頭を後押しするかもしれない。貧困層でも活用でき、持続可能な移動手段である自転車は多くの市民や団体がその促進を訴えてきた。実際に多くのNGOが医療従事者らへの通勤手段として自転車貸与プロジェクトなどを実施している。しかし、防疫期間中に人々の間で自転車に対する需要が急激に高まっているものの、首都圏の交通行政を担当する首都圏開発庁(MMDA)は何の施策も検討していない。
同庁は過去に自転車利用を促進させるために「バイク・シェアリング」プログラムを始めたこともあったが、公共交通機関が完全に停止したこの2カ月間のチャンスを利用する気配を全く見せなかった。一方で、運輸省はエドサ通りの「マブハイレーン」を自転車専用レーンとする案や首都圏に自転車専用道路を設置することを視野に入れている。同省が注目するのがマリキナ市とパシッグ市だ。特にマリキナ市は主要道路やオフィス、軽量高架鉄道2号線の駅、商業地区や学校などを結ぶ総延長52キロの自転車専用レーンを設置しており世界的にも知られている。世界銀行が2002年に供与した130万ドルの無償資金援助が当てられた。同市に隣接するパシッグ市も自転車の寄贈を呼び掛け、医療従事者など通勤者に貸与する「パシッグ・バイク・シェア・プログラム」を実施、路肩拡張や自転車レーンの設置事業などを市内の主要道路沿いで実施している。
コロナ禍を契機に比に自転車文化を定着させるため運輸省やMMDAは地方自治体のイニシアティブを支持し、全国にその実践を広げるべきだ。(25日・インクワイアラー、セグンド・ロメロ)