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1月31日のまにら新聞から

マニラ湾浄化の道のりは遠い 政府の浄化作戦開始から1年

[ 717字|2020.1.31|社会 (society)|新聞論調 ]

 マニラ市のバセコ地区の海岸沿いでは、底が見えるほどに海水が透き通っている。これは、当局が取り組んでいるマニラ湾浄化作戦、いわゆる「バトル・フォー・マニラベイ」の成果を示すものだ。とはいえ、開始から1年たった割には、それほど進んだとは言えない。

 バセコは水質改善が見られたとして政府から表彰されている。同地区は、マニラ港の中でトンドの「ウリンガン」と呼ばれる炭焼き従事者の多い地区の近くに位置する。作家のドン・ブラウンが小説の中で「地獄への門」と描写した所だ。

 マニラ港一帯は、市内でも最も貧しい地域だ。マニラ湾で細々と漁業を営む不法居住者もおり、固形廃棄物の増加や排泄物による汚染の原因となっている。しかし、こうした住民ばかりが汚染を生み出しているのではない。

 マニラ首都圏中で、下水管のない家屋、産業用・商業用の施設がパシッグ川に廃棄物を垂れ流しており、それらがマニラ湾に流れ着いているのだ。浄化事業が始まって1年。首都圏の自治体は、それぞれの行政区域内の水路を浄化する必要性を指摘しており、以前よりは多くの水処理施設が稼働している。しかし、いまだに水路や下水管がごみで詰まる所が多く、固形廃棄物の管理が求められる。

 マニラ湾の浄化には、コミュニティーレベルで住民が協力できる包括的なアプローチが必要だ。この事業に関わる人々は、台風のたびに大量のごみがマニラ湾に押し寄せるのを見て、ごみ捨てについての市民の意識と行動にほとんど変化が見られないことを嘆いている。

 政府が事業を開始して1年たっても、大変な取り組みが続く。しかし、いくつかの前進が見られるのも確かで、われわれに希望を与えてくれる。(28日・スター)

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