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12月22日のまにら新聞から

建築基準法更新を迅速に ミンダナオ地震

[ 658字|2019.12.22|社会 (society)|新聞論調 ]

 10月にミンダナオ地方を襲った一連の地震では、死者23人と負傷者500人に加え、18万5千人が家を失った。その約2カ月後の今月15日には、南ダバオ州をマグニチュード6・9の地震が襲った。死者は18日時点で9人、行方不明者も報告されている。111人が負傷、数千人が再び家を失った。被災地では食料と水、避難所と医療支援が欠乏している。

 今回の地震の死者のほとんどは破壊された建物によるものだ。3階建てのスーパー、マグサイサイ町役場、家屋が崩壊して下敷きになった6歳の少女もいた。

 10月の地震と合わせて考えても、自然の衝撃に耐えられるよう建築基準法を見直して新しくし、厳密に実行する必要性が痛感される。このことは多くの断層が島内を走り、コタバト海溝が地震を起こりやすくしているといわれるミンダナオ島では特に重要だ。

 建築基準法は1977年に成立した。フィリピン大のベニト・パチェコ博士は「42年前の科学技術は明らかに時代遅れで、基準はいま直面する災害のリスクに見合っていない」と指摘する。

 建築基準法の更新は大変な作業かもしれないが、今こそ、より強度がある優れた建築材料を使用し、より正確に密度や地質を測定するべきなのだ。また、断層などの地質学の知見の活用と、地すべりが起こりやすい地域を示すハザードマップも必要だ。

 建築基準法を更新する法案は5つが上程されてはいる。しかし、国民の生死がかかる問題であるのに、憲法をいじるほどの熱心さや迅速さを議員は持っていないようだ。(19日・インクワイアラー)

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